１２話 ページ12
○
今日は休日。
そして、母を訪ねる日だ。
電車に揺られること数十分、わたしはまっすぐ病院へ向かった。
「お母さん、入るね」
返事はない。
ベッドに横たわり太陽の光にてらされている母の目は、固く閉じられている。
あまり詳しいことは分からないけれど、母はいわゆる植物状態というやつだ。
あの日、大量の睡眠薬を服用して首をつっていたせいで、母の身体はボロボロだった。
あれからもう9年も経ったっていうのに、未だに母は入院している。
眠っては時々目覚めてを繰り返していて、退院は1度もしていない。
母の記憶の中のわたしは、小学校2年生で止まっているのだろうが、今わたしはもう高校2年生になっている。
「お母さん、昔に1度会ったことがある男の子に再会したんだよ」
だから、いつもこうしてわたしが一方的に話しかける。
母から反応が返ってくることはない。
それでもわたしは、この9年間通い続けている。
月に1度や2度くらいだけど、やめようとは思わなかった。
それはきっと、母が回復することを待ち望んでいるから。
いつかまた、母と一緒に暮らしたいと思っているから。
昔の、楽しかったあの頃に戻りたいから。
やっぱりわたしは、いつも後ろを向いてしまう。
前を見れない。何があるのか分からないから。
元の家族に戻れるなら、わたしはそれを望む。
だから、お願いだから、わたしを1人にしないで欲しい。
わたしがどれだけ願っても、母が起きることはなかったけれど、わたしは諦めない。諦めたくない。
きっとこれまで諦めてしまったら、本当にわたしはどうしようもなくなってしまう。
なにも残らない、抜け殻のようになってしまう。
それだけはどうしても嫌だった。
いつまでも過去を見続けるわたしは、ひどく滑稽だと思う。結局、過去に依存しているだけだ。
でも、それでいい。
わたしには、もう過去しか残っていないから。
．
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みすと(プロフ) - わあああ返事遅くなってすみません(；； ) わたしも見ました、何回みても最高ですよね… こちこそ読んでくださってありがとうございます！ (2020年4月24日 13時) (
レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
なな@鬼滅あんスタ(プロフ) - 昨日のロードショー見て来たのはうちだけじゃないハズ((((作者さんありがとうございます... (2020年4月18日 9時) (レス) id: 967fb8e362 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 加々知 零さん» 黒羽快斗くん夢、書くのとても楽しかったです(つω`*)小説読んでくださりありがとうございます！ (2019年7月2日 22時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
加々知 零 - ｡ﾟ(ﾟ´ω`ﾟ)ﾟ｡快斗×夢主がヤバイよぉぉお！！ (2019年7月2日 21時) (レス) id: b33ef74fc2 (このIDを非表示/違反報告)
みすと(プロフ) - 木実こむぎ@Project KZ副隊長さん» 最後のセリフは絶対これで終わろう！って考えていたのでそう言っていただけて嬉しいです！本当に読んでくださり感想までお聞かせくださり、ありがとうございます！また何か書き始めたら覗いてってください(^^) (2019年5月31日 19時) (レス) id: 2f6679e490 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みすと | 作成日時：2019年5月8日 21時
