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家に帰ろうと言えば2人とも顔を輝かせる。
2人の目の下には普段顔を見ていないと気づかない隈がある。そこまで寝不足ではないものの、疲れが溜まっているのは見たら分かる。
それに硝子も疲れ始めてきたと言ってたし、まだ夕方だけど連れ帰っても文句は言えないだろう。
「はい2人とも。今日まで偉かったから、私と手を繋ぐこと許してあげる」
「いいの!?」
「本当!?ありがとう」
私が2人に手を差し出せば、幸せそうにはにかんで長い指を私の指に絡ませる。そんな2人の手はじんわりと暖かかった。
高専の生徒に見つからないようにと、部屋の裏口から出て現在3人で住んでいる家へと帰る。
鍵を開けさせて中に入ると、そこには生活感のない空間が広がっている。この2人は私と一緒に過ごさないとこうなってしまう。
それにこの家の内装は全て私の好みで、2人の趣味は一切入っていない。綺麗な刺繍のカーテンベールも、ベッドも食器も全て私の趣味だ。
この家にはセミダブルとキングの2台ある。キングは3人で寝る用。セミダブルは私1人で寝る用だ。
私は久しぶりに寝室へと足を運ぶ。静かに扉を開ければ、そこには悟と傑の服が散乱していた。
「傑、悟、これどうしたの?」
「その、この前Aが新しい服何着か買ってたでしょ?」
「私たちのせいでAに恥ずかしい思いをさせたくなくて、選んでたんだけど....良いのが見つからなくて」
私に怒られると思ったのか小さくごめんねと呟く。2人の額に小さくキスをして、安心してと諭す。
私のためにこんなに可愛らしいことをしているのに怒るはずがない。
「2人はよく眠れた?寂しくなかった」
「Aが僕たちにタオルケット貸してくれたから、少しは眠れたよ。ちょっと寂しかったけど頑張って我慢したから」
「今度もお留守番する時に貸して」
「もちろん」
それよりも私の懸念点は2人のお留守番だった。今回、私が海外任務で離れた期間は約4日。
その際に私が普段使っているタオルケットを1人に1枚与えた。この2人はやっぱり我慢する癖があるから、できても3日が限度だろう。
言葉には出してないものの、かなり寂しかったようだ。顔をみれば即座に分かる。ちょっとの部分で目が泳いでいた。
この子たちはどれだけ健気になれば気が済むのだろう。
「ねぇ悟、傑、お風呂に入ろ。2人とも顔がいつもより白いから暖かくしようね」
2人の手を優しく握る。
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ゆかり(プロフ) - 次の作品のパスワード見たいので教えてください! (3月30日 23時) (レス) id: a64b7436ba (このIDを非表示/違反報告)
♡ - 私と手を繋ぐこと許してあげるとか夢主何様だよ爆笑 (3月8日 23時) (レス) @page6 id: 4a3a97ff3f (このIDを非表示/違反報告)
花ノ園(プロフ) - てんごくさん» 当方の作品を読んでくださりありがとうございます!まだまだ更新していくので今後ともよろしくお願い致します!真理に気付いてしまうとは、さては色々な作品を読み込んでおられますね? (3月5日 17時) (レス) id: e5dd021f40 (このIDを非表示/違反報告)
てんごく(プロフ) - 花ノ園様!!!わたくしはッ、貴方のお陰でッ性癖が捻れに捻じ曲がってなんかもう、大変な事になっております本当に!!!元々、こういうのは、好きだったのですが…!この、神作を見てッ(これの前作読んだ後花ノ園様の作品を読み漁りました、幸せでした。)真理に気付きました (3月5日 16時) (レス) @page14 id: d31d16bd17 (このIDを非表示/違反報告)
花ノ園(プロフ) - ふじさん» 続編が約2年後という超重鎮出勤で申し訳ないです....ページたっぷりで更新して行く予定なので、今後ともよろしくお願いします! (3月5日 15時) (レス) id: e5dd021f40 (このIDを非表示/違反報告)
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