＝２１９＝ ページ9
雨犬の次郎と、雨燕の小次郎。どちらも山本の匣兵器だ。
2匹に呼び掛け、彼は刀を抜く。
"霧雨"でデイモンを無数の斬撃で斬り刻む、敵は幻覚だ。
実物を斬ったわけではないので、相手は無傷。
デイモンの余裕な笑みに、笑って返す山本。
山本は幻覚であることに気づいていた。彼は未来で嫌というほど幻覚に悩まされたから。
「っ…げほっ……げほっ、げほっ…！！！
はあっ…はあっ…！げほっ…！！」
心臓に走る電撃。止まらない咳。力の入らない脚。
突然の出来事で何も理解できないまま、私はその場に倒れ込んだ。
呼吸ができない。言葉が話せない。
手足も動かない状況で、私は咳をすることしかできなかったんだ。
「A！！」
誰よりも真っ先に私の名前を呼んで近づいてきたのは、リボーンだった。
この中で唯一、この原因が分かっている人。
デイモンと山本の対決は一瞬中断されたも、デイモンはすぐに武器をとった。
山本はデイモンの反撃を間一髪で避け、再び攻撃態勢を整える。
ツナと獄寺は急な事態に戸惑っていた。
今まで"ただの風邪"と偽ってきたが、そろそろ限界だろう。こんなの風邪なわけがないもん。
30秒ほどの時間だったにもかかわらず、何時間ものように感じた。
苦しさが限界を迎えたのか、私の意識は完全にシャットアウト。
テレビの電源が切れたかのように、ぷつりと暗闇にチェンジした。
最後に見えたのは、泣きそうなツナの顔。
やめて、そんな顔させたくない。
ねえ、ツナ。
私が短命だって知ったら、貴方はどんな顔をする？
もし今みたいな顔するのなら、私は言えないよ。
あと半年で、死んじゃうだなんてさ。
＊＊＊
―――真っ暗闇。
右手に灯るぬくもりだけが、なぜか私を安心させていた。
「………んっ」
重たい瞼をゆっくりと持ち上げる。
映し出した世界は真っ暗だ。その中に点々と星が見える。
少しだけ冷たい空気。それでも右手だけはやんわりと熱を持っていた。
そちらに視線を移すと、繋がれた手。
その主は、私の大好きな人。
「…ツナ」
彼は眠っていた。
寝袋から出された彼の左腕だけが、少し冷えている。
「ばか、私の右腕も冷えちゃってるじゃんか」
それでも、繋いでいた手は確かに温かい。
このぬくもりが私を安心させてくれただなんて、ツナは知らないんだろうな。
あと何か月、私は貴方の隣に立つことができるんだろう。
永遠の別れが近いだなんて、怖いよ。
誰か、生きる方法を教えて。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 148人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【REBORN!】私、チェルベッロのボスです。←９ んじゃさ、題名しりとりでもしようぜ！あ、マグロパート９になりますヨ♪
伊月「俺と結婚してください!!」貴「え!?いや…いきなり言われても…」伊「あ、スイ...もっと見る
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛鞠_あいまり_(プロフ) - なっちゃんさん» いや、どっちぃー！！(ガーン)なるほど。そういうことですか！納得しました！いえいえ、ただ単に気になっただけですのでお気になさらず。あと様付けもやめてくださると(((( (2020年3月25日 0時) (
レス) id: ef3cf9b79e (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - 愛鞠_あいまり_さん» そんなに前から……。感激です涙が止まりません！（泣いてない）実は宇宙の炎、外からの衝撃には強いのですが、内から来るものには効かないのです…。（病気、けが、呪いなどなど）愛鞠様のおかげで設定を見直すいい機会ができました！有難うございます(^^)/ (2020年3月24日 22時) (レス) id: 0a80c5c44f (このIDを非表示/違反報告)
愛鞠_あいまり_(プロフ) - 4年前から愛読しております。こんなに経ってるのに初コメですみません。ふと気になったのがありまして、宇宙の炎が無効化なら呪いを無効化できないのかなって思ってしまいましたww (2020年3月21日 20時) (レス) id: ef3cf9b79e (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - ありがとうございます(*- -)(*_ _)ﾍﾟｺﾘ (2020年1月13日 23時) (レス) id: f011f41edf (このIDを非表示/違反報告)
なっちゃん(プロフ) - りんさん» 時間ができたときは書いていきますね！はあっ…そのようなお気遣いまで！りん様もお体ご自愛下さい(^^)/ (2020年1月13日 23時) (レス) id: 0a80c5c44f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
