【REBORN!】私、チェルベッロのボスです。←５ (ページ14)

今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:57,856 hit

＝１３４＝ページ14

同時刻、とある場所での出来事。

【???side】

分かってる、分かっているよ。
こんな事をしたって無駄だよね。そんなこと、自分が一番わかっているはずなのに。
嫌だったんだ、またキミが大空を見上げてしまうことが。
僕以外の、広々とした真っ青な大空。
いっそ大空が見えないようにと、過去のキミを部屋に閉じ込めた。
それでも大空は、するりと彼女を連れ去っていく。

ねえ。10年後のキミはどんな思いで僕の隣りに居てくれたの？
嫌だった？沢田綱吉の元へ帰りたかった？
僕は信じていいの？この世界のキミだけは、僕だけを見ていてくれたってこと。

10年後のキミが僕ではなくボンゴレに付いて、僕を倒そうとしたことはもう知っている。
きっと10年後のキミは、全て分かっていたんだよね。
僕が世界征服を目論む理由さえも。
"ごめんなさい、ごめんなさい"って何度も謝る君の声、嫌なくらいに聞いた。
僕の勝手で10年後のキミを傷つけてしまったことは謝るよ。
…それでも、君が反対したとしても、僕は沢田綱吉を許さない。

沢田綱吉に初めて殺意を抱いた日が昨日のことのように思えるんだ。
あの大雨も、僕の叫び声も、突然消えた君も。
全部、全部、鮮明に覚えているよ。

「A……。どうしたら、2人ともが幸せになれたんだい？」

ぽつりと零れた独り言に、返答する者は誰もいない。

隣でいつも僕を照らしてくれたあの明るい太陽は、もういない。

10年前の小さな太陽が照らすのは、僕じゃないんだ。

「A、言っていたよね。」

"辛いことがあって、どうしようもないことがあって、いつか白蘭の心が折れてしまう日が来るかもしれない。
目の前の誰かに圧倒され、死を覚悟する日が来るかもしれない。
その日が来たら、私が絶対に貴方を助けるよ。
だから絶対、諦めちゃだめだからね"

「……絶対に諦めないよ。
キミにまた会えるまでは、僕は絶対に死なない」

花瓶に飾られた鮮やかなコスモスに、そっとキスを落とした。