壊れかけの世界に呼ばれし神の愛し子３【まほやく】 (ページ30)

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125話ページ30

シノ「……なんで聞きたがる? これも賢者の仕事か?」

『えぇ〜そんなわけないよ。
魔法使い達のメンタルケアまでが仕事なら私、賢者やらないよ。』

そういい、ヘラりと笑うAは、テラスの柵に肘をおきシノを見た。

『理由、そうだなぁ、この世界に来たばかりの私にヒースは優しくて親切だったからかな。

そんな彼と仲がいいシノが、どうして彼に怒っているのか気になったワケ。

まぁ、シノも口は悪いけど、悪そうな人には見えないし何かと理由があるのかと…？』

シノ「……」

シノはじっと、笑うAを見つめた。

話すべきか迷っていると言うより、Aの正体を探るような強い瞳だった。

シノ「オレは孤児だ。

家族の顔は知らない。魔法が使える分、食うには困らなかった。

忌み嫌われるって言葉を知る前に、忌み嫌われることにも慣れた。簡単さ。仲間を望まなければいい。」

言葉通り、傷ついた様子もなくシノは堂々と身の上話をした。
そんなシノの声が、急に柔らかくなる。

シノ「だが色々あって、運良くブランシェット家に雇われた。

ブランシェット家は天国だった。
旦那様も、奥様も、ヒースも優しくて、仲が良くて、理想の家族だった。

直接、話したことはなかったが彼らの役に立てることが嬉しかった。

だが、ある日、俺のところに奥様が直々にやってきた。ヒースを連れて。

シノ、魔法使いなんですって?ヒースクリフもそうなの。だから、これからヒースと仲良くしてあげてね。｣