第八話 ページ9
「盲目、じゃなさそうだね。杖とか持ってないし。……手振ってるし」
「不審者じゃん。え、知り合い？」
「記憶にございません」
「それ悪いことした政治家が言うやつ」
ふざけている間にも彼はこちらへ歩いてくる。最初こそ自分に手を振っているとは限らないと思っていたAだったが、いつのまにか目の前まで近づいてきた彼が「やあ」と肩に手を置いてきたので固まった。
「君、呪術師でしょ」
「！」
「ちょっと話したいんだけど、いいかな」
いいかな、と言いつつも拒否を許さないような響きがあった。だが、素直に従っても良くない方向に行く気がする。
「いいわけないじゃーん。つーか怪しいの自覚してぇ？」
かわりに春太が返し、「逃げよ！」とAの手を掴んで走り出した。
一度だけ振り返ったが追ってくる気配はない。彼は一体……。
「てゆーか、Aも呪術師だったんだ。なんか嬉しい……って」
そこで春太は息を切らしているAに気づいた。
「大丈夫？」
「足、速すぎっ……」
「ごめーん」
飲食店や『未成年お断り』と書かれた看板の目立つ店が立ち並ぶ明るい路地まで来てからようやく一息つけるようになったものの、またどこで遭遇するか分からない。
「でもありがとう。助かりました」
「ん？ ああ、いーよ。けどなんだったんだろうねぇ、あの目隠し」
そういえばと思い出したのは、一般人に危害を加えた呪術師は『
「うわーやだー捕まりたくなーい……」
「捕まるって何で？ ……あ！ もしかして、女教師襲った呪術師ってA？」
「……ハイ」
「あちゃー……君、ツイてないね。てか、どんな術？」
「まだ上手くコントロールできないんだけど」
実は今朝もやってみたのだが、教室でやったような思い通りの形にはならなかった。
「いいじゃん、見せて。ちょうど呪霊もいるしさ」
「へ？」
ちょうどパチンコ店の裏、大量のタバコや空き缶が捨てられている場所にそれらは居た。人の背ほどのものや、芽衣子に憑いていたような小さいものもうごめいている。
「あれが呪霊……」
「そうだよ。今なら誰もいないし、練習台にしやすいんじゃない？」
そう言われてみればそうだと影を出してみたが、やはり上手く形が作れない。教室でのあれは何だったのか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 125人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
闍弥嵩 李(プロフ) - 猫かぶりさん» ありがとうございます！ いやほんと、ななみん背高いし紳士だし実は優しいし最高ですよね！ 芥見先生が『選ぶなら七海にしておけ』と勧める気持ちが分かります！ (2021年6月1日 16時) (
レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 推しLOVEさん» ありがとうございます！ 頑張りますね！ (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 続きがとても楽しみです！そしてななみん背高いぃぃぃ!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
推しLOVE - すっごく面白いです！頑張ってくださいね！ (2021年5月23日 19時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 花笠さん» ありがとうございます！ (2021年4月17日 15時) (レス) id: 1dd78312f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2021年2月15日 17時
