第四話 ページ5
「あ、あのぉ……」
「はぁ〜〜〜かったるいなぁ〜。どこもかしこも猿ばかり」
――猿？
予想外のキャラに思わず笑ってしまったAは急いで誤魔化す。とはいえ、
「あのっ」
もう一度芽衣子が声をかけると、夏油はたった今二人の存在に気づいたとばかりに体を起こして座り直した。
「失礼。考え事をしていましてね」
「い、いえ！ 大丈夫です」
「それで？ 今回はそちらの？」
「あ、この子は付き添いです」
「ふうん」
芽衣子さんの言う通りだ、とAは思う。一見、親しみやすそうに見えてどこか圧を感じる。心を許せると思える反面、機嫌を損ねてはいけないと。
「実は一ヶ月前から……」
芽衣子が話し始めてから少しの間、自分のほうに注意を向けられないように俯いていたAは気づいていないが、叔母の背中にしがみついていたトカゲの化け物が亀のようにゆっくりと首を伸ばしていた。
「二度目で申し訳ないのですが……」
「いえいえ。困った時はお互い様ですから」
そろそろ話は終わるだろうかと顔を上げた途端に夏油と目が合い、心臓の跳ねる思いをした。だが、それ以上に驚かせるようなモノがすぐ近くまで来ていることをAはまだ知らない。
「君」
唐突に話しかけられたAが「は、はい！」と上ずった声で返事すると、夏油は優しそうにも意地悪そうにも見える笑みを浮かべた。
「ちょっと離れようか」
距離をとるようにと手でジェスチャーされ、移動しようとした際に左隣の芽衣子のほうを見る。
と、すぐ目の前に爬虫類の顔があった。
「うっっっわッ！！？ 」
わ、と叫び終わるのと左手で化け物の横面に裏拳をかましたのは同時だった。
「どうしたのA！？」
「え！？ ……あ、やば」
「な、なにがやばいの？」
トカゲは殴られたのにも関わらず、ケケケと甲高い笑い声をあげている。――このやろう。
「いやその、虫が居たからびっくりしまして、ね？」
恥ずかしすぎて穴があったら入りたい。いや、むしろこのクソトカゲをスコップでぶん殴って埋めたい。
「えっと、お騒がせしてすみませ……あれ？」
意外にも夏油は顔を伏せて爆笑していた。おそるおそる話しかけた芽衣子に「ちょっと待って……」と震えながら片手でストップのジェスチャーをする。
見ていたAは『この人、笑うんだ？』と若干失礼なことを考えていた。
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闍弥嵩 李(プロフ) - 猫かぶりさん» ありがとうございます！ いやほんと、ななみん背高いし紳士だし実は優しいし最高ですよね！ 芥見先生が『選ぶなら七海にしておけ』と勧める気持ちが分かります！ (2021年6月1日 16時) (
レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 推しLOVEさん» ありがとうございます！ 頑張りますね！ (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 続きがとても楽しみです！そしてななみん背高いぃぃぃ!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
推しLOVE - すっごく面白いです！頑張ってくださいね！ (2021年5月23日 19時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 花笠さん» ありがとうございます！ (2021年4月17日 15時) (レス) id: 1dd78312f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2021年2月15日 17時
