第三十九話 ページ40
＊
目が覚めた時には見知らぬ部屋のベッドの上だった。『部屋』といってもどちらかというと病室に近い。
無機質な天井を見つめながら脳を働かせる。たしか廃墟で一級呪霊に出くわして……。
ここでAはようやく全てを思い出した。必死に戦いはしたが、呪具が折られてからは一方的にやられるのみとなったのだった。
結局、あの呪霊は自分なんかの手に負えるものではなかった。こうして生きているだけでも幸運……あれ？
――あの女の人は！？
「
飛び起きた途端、背中がズキリと痛む。だが今はそんなことはどうでもよかった。また、助けられなかった。
「まだ安静にしててください」
静かな男性の声に右を向き、そこで初めてAは見覚えのある人物が椅子に座っていることに気づいた。
白いスーツに、ゴーグルのような特殊な眼鏡をかけている。彼は確か……。
「七海、さん？」
名前を知っていたことに束の間不思議そうな様子を見せた彼だったが、改めて『七海建人と申します』と簡単に自己紹介をした。
「七海さん、その……呪術師の女性の方は……」
「無事ですよ。あなたのおかげです」
その声からは僅かに優しさを感じたが、同時に後ろめたさのようなものも含まれているような気がした。
「……申し訳ありませんでした」
「へ！？」
突然、深々と頭を下げた七海にAは完全に不意を突かれた。
「私の不手際です。あの場に行くのが遅れたことで、あなたたちを死なせるところだった」
「い、いやそんな、こちらこそごめんなさい……！ その、勝手なことして……」
沈黙が気まずくなってあたりを見回してみるが、分かったのは『ここは病院ではなさそう』ということだけだった。
「ここは……？」
おそるおそる尋ねたAに、彼は衝撃的な答えを出した。
「呪術高専です」
――詰んだ。
七海の答えを聞いた瞬間、Aは力が抜けたように伏せた。自分は人殺しだ。呪術界の法律に基づけば間違いなく処刑されるだろう。
どうやって逃げる？ いや、そもそも逃げられるとは思えない。あれ、でも殺すのにわざわざ手当てしたりする？
「あの……自分、処刑されますか？」
「？ 何故です？」
「母と叔母を、その、殺して……」
「いいえ」
思いがけず否定され、Aは再びベッドから顔を上げる。彼はさらに驚きの事実を口にした。
「あなたは誰一人殺めていませんよ」
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闍弥嵩 李(プロフ) - 猫かぶりさん» ありがとうございます！ いやほんと、ななみん背高いし紳士だし実は優しいし最高ですよね！ 芥見先生が『選ぶなら七海にしておけ』と勧める気持ちが分かります！ (2021年6月1日 16時) (
レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 推しLOVEさん» ありがとうございます！ 頑張りますね！ (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 続きがとても楽しみです！そしてななみん背高いぃぃぃ!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
推しLOVE - すっごく面白いです！頑張ってくださいね！ (2021年5月23日 19時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 花笠さん» ありがとうございます！ (2021年4月17日 15時) (レス) id: 1dd78312f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：闍弥嵩 李 | 作成日時：2021年2月15日 17時
