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第三十二話 ページ33

「あなたに会いたいって思ってました。自分も」

「マジ? 嬉しいな〜」

 でも、と春太は少しだけ心配そうな表情を浮かべる。

「何かあったっぽいね。俺でよければ聞くよ?」

 こういうところだ。普段は軽い調子なのに、ふとしたところで優しくなる。弱いところを全てさらけ出して甘えてしまいたい。そうすれば『行かなくていい』と言ってくれるだろう。

 でも……自分一人だけ生き延びたって意味がない。家族(みんな)と一緒じゃなきゃ嫌だ。

「今夜、ある人たちと戦うんです。で、もしかしたら死んじゃうかもしれないから最後に話したいなって思いまして」

 Aはあえて明るく振る舞うことにした。そうすることで自身の感情も誤魔化せるような気がした。
 春太は、笑っていなかった。

「なに……A、今夜死ぬの?」

「多分……」

「いやだ」

 その言葉は予想していなかった。この人のことだから、てっきり軽く流されるものだと思っていた。

「え、なんで? 行かなきゃダメ? まだ子供じゃん。まだ、長いのに……」

 完全に本音を隠すことはできそうになかった。そこまで器用な人間になれたら。

「怖いです。正直。でも……これ以上自分のことを嫌いになりたくなくて」

「そ、そんなんで嫌いになる必要ないじゃん!? だって、怖いのは当たり前なんだから、さ。いや、待って、ほんと待って。……何でだよ。何でお前なんだよ……!」

 何でそこまでするんだ、と彼は小さく呟く。Aは今更になって春太にあの出来事(・・・・・)を話していなかったことを思い出す。

「誘拐されたんです、自分。家族だと思ってた人たちに。それで、その二人を……殺しました」

「……え?」

「でも、新しい居場所ができたんです。新しい『家族』が。その人たちが命がけで戦いに行くのに、自分一人だけ逃げるわけにはいきません。それに……」

 呪術で人を殺した人間は呪術界の法律に従って処刑される。今夜行かなくても捕まれば死。

「どうせ死ぬしかないならせめて……かっこよく死にたいじゃん?」

 生き恥を晒すより、家族の幸せのために戦って死にたい。

「……バカ」

「え? ……()った!」

いきなり頭を叩かれてAは困惑する。割と容赦ない。

「マジでバカ。死にたくないくせに何言ってんだよ。てか何で死ぬしか選択肢ないんだよ。残される俺のことも考えろよ」

「ご、ごめんなさい……」

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闍弥嵩 李(プロフ) - 猫かぶりさん» ありがとうございます! いやほんと、ななみん背高いし紳士だし実は優しいし最高ですよね! 芥見先生が『選ぶなら七海にしておけ』と勧める気持ちが分かります! (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 推しLOVEさん» ありがとうございます! 頑張りますね! (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 続きがとても楽しみです!そしてななみん背高いぃぃぃ!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
推しLOVE - すっごく面白いです!頑張ってくださいね! (2021年5月23日 19時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 花笠さん» ありがとうございます! (2021年4月17日 15時) (レス) id: 1dd78312f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:闍弥嵩 李 | 作成日時:2021年2月15日 17時

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