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第二十一話 ページ22

先に気づいたAは息を呑んだ。彼は思いの外背が高く、眼鏡越しに見下ろす目は静かでありながら鋭さを秘めていた。

「お話中失礼します」

 七海は通話をしていた時と同じように淡々とした声で言ってから前を通り過ぎる。と思いきや、足を止めてAを凝視した。
 そして、

「君……持っていますね(・・・・・・・)?」

「――!」

 その瞬間、Aは駆け出していた。呼び止める春太の声にも振り返らずに。ここまで必死に走ったのは、目隠しをした謎の呪術師に絡まれた時以来だった。












 やっとの思いで家に辿り着き、飛び込むように中へ入ってから慌てて鍵をかける。まさかここまで追ってくるとは思えないが、扉を開ければ外に立っている気がして落ち着かなかった。

 Aは左胸を強く押さえた。取られるわけにはいかない。あれがなければ無力だ。




 Aが自分の術の弱点に気がついたのは最近のことだった。『楽しんで使う』という春太のアドバイス通りに家から離れた公園で練習してみたがどうも上手くいかず、影は弱々しい煙にしかならなかった。

 その時に宿儺(すくな)の指は持っておらず、もしかしたらと期待したAは一度家に帰ってから指を持って再度公園で試してみた。すると、自由自在に暴れる影が出現したのだ。

 初めて呪霊を祓ったあの場所にも宿儺の指はあった。それで確信した。これがあれば無敵になれると。逆に言えば、指がなければ価値のない以前の自分に戻ってしまうのだと。

 だが、やはりよくないかもしれない。大好きな母と叔母を危険な目にあわせてしまうかもしれないと葛藤した末にAは決意した。家族が何より大切だ。

 ――明日、街で七海さんに会えたら渡そう。

 そしてちゃんと謝ろうとAは廊下の扉を開けた。









 この家には廊下だけでなくリビングにも扉があり、両方閉まっていると玄関の物音に気づかないこともあった。今もリビングにいる母はAが帰ってきていることに気がつかない様子で誰かと喋っている。そっと聞き耳を立ててみると相手は叔母の芽衣子(めいこ)だった。

「ねえ、和歌子(わかこ)……流石にありえないんじゃない?」

「でも最近のA、様子が変なのよ。妙によそよそしいし、やっぱり気づいたのかも」

「それならとっくに警察に話してるはずよ。私たちがあの子の家族じゃなくて、誘拐犯だってこと」



 ……


 …………え?

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闍弥嵩 李(プロフ) - 猫かぶりさん» ありがとうございます! いやほんと、ななみん背高いし紳士だし実は優しいし最高ですよね! 芥見先生が『選ぶなら七海にしておけ』と勧める気持ちが分かります! (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 推しLOVEさん» ありがとうございます! 頑張りますね! (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 続きがとても楽しみです!そしてななみん背高いぃぃぃ!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
推しLOVE - すっごく面白いです!頑張ってくださいね! (2021年5月23日 19時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 花笠さん» ありがとうございます! (2021年4月17日 15時) (レス) id: 1dd78312f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:闍弥嵩 李 | 作成日時:2021年2月15日 17時

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