第二十話 ページ21
「変な理由でしょ?」
「ちょっと変わってるかも」
二人ともゲームを続ける気分ではなかったため、外に出て歩きながら続きを話した。
仲良くなった理由が『名前が気に入った』とは、ずいぶん変わっている。冗談だろうか。
「『A』って下の
「なるほ……え!?」
そもそも彼に弟や妹がいたこと自体がAは初耳だった。
「ずっと一人っ子だと思ってました……」
「そうそれ、よく言われる。まあ里子として施設から引き取った子らしいから血は繋がってないんだけど」
「キョウダイの方、自分と顔は似てたりします?」
「うーん、どうだろ……三歳の時にいなくなっちゃったから、あんま覚えてないんだよね」
死別、ということだろうか。流石にそれ以上追求することはできない。
「ごめんごめん! そんな深刻な話じゃなくてね?」
Aの表情に気づいた春太は慌てて付け加えた。
「死んだわけじゃないんだ。行方不明っていうか?」
それだって深刻です、とは口に出さなかった。まさか彼にそんな過去があったなんて思いもしなかった。
「そういや、Aの親って非術師?」
「たぶんそうです。父親はいなくて、母と暮らしてるんですけど」
「ふーん。あ、Aストップ」
「?」
パチンコ屋の裏の奥の壁際でスーツ姿の男性が誰かに電話をかけていた。この前初めて春太の前で呪術を披露した場所だ。
よく見ると男性は少し変わった姿をしていた。サラリーマンのような白いスーツに金髪を七三分けにし、ゴーグルのような独特な形の眼鏡をかけている。
「……もしもし、七海です。
宿儺の指という単語にAは声を上げそうになったのをすんでのところで堪える。何故ならソレの一つは今、Aの左胸の内ポケットに入っているからだった。
「特級呪物じゃん。こんなとこにあったとかウケんだけど」
「探して拾っときゃよかった」
「え? Aってあれ集めてるカンジ?」
「いやいや、実はですね? 呪術使わずに間接的に呪えそうだなーって」
「いけないんだ〜。あ、でもそれ名案!」
「いいですよね! 我ながらえげつないな」
というシャレにならないやり取りをしていた二人はいつのまにか七海が目の前に立っていたことに気づかなかった。
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闍弥嵩 李(プロフ) - 猫かぶりさん» ありがとうございます! いやほんと、ななみん背高いし紳士だし実は優しいし最高ですよね! 芥見先生が『選ぶなら七海にしておけ』と勧める気持ちが分かります! (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 推しLOVEさん» ありがとうございます! 頑張りますね! (2021年6月1日 16時) (レス) id: 425bc70507 (このIDを非表示/違反報告)
猫かぶり - 続きがとても楽しみです!そしてななみん背高いぃぃぃ!!! (2021年5月30日 23時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
推しLOVE - すっごく面白いです!頑張ってくださいね! (2021年5月23日 19時) (レス) id: 5790125387 (このIDを非表示/違反報告)
闍弥嵩 李(プロフ) - 花笠さん» ありがとうございます! (2021年4月17日 15時) (レス) id: 1dd78312f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:闍弥嵩 李 | 作成日時:2021年2月15日 17時