自分、最強じゃね？ 嘘ですゴメンナサイ【呪術廻戦0】

第十七話 ページ18

針名美絵(はりなみえ)。勉強面でも運動面でも目立たないが、オカルト好きでストラップサイズの呪いの人形(自称)を持っており、事あるごとにそれを攻撃していたために呪術師だと思われたのだろう。
　それにしても腹が立つとAは思った。確かに自分以外が疑われるのは都合が良いが、美絵自身が調子に乗るのは我慢ならない。

　――やっとできた、たった一つの取り柄を奪われるなんて。



倉島 : マジ？ だとしたらサンキュー

美絵 : でもうまくいく時といかない時があるんだよね

ヒロ : ダメ元でまた宮井呪ってくれる？伊野みたいに辞職してほしい

美絵 : やってみる

A : バレないように気をつけてね



　バレないように、と送りながらもAは思いきり顔をしかめて舌打ちしてしまった。完全にそちらに気を取られていたために夏油(げとう)に声をかけられるまで、彼にラインのやりとりを見られていたことに気づかなかった。

「例の呪術師、同じクラスの子だったんだ」

「！」

「あ、ごめん勝手に見て。でもこれってクラス全員のライン、だよね？」

「？ はい」

「ってことはさ、誰かが密告するなんてこともありえるんじゃないかな」

「あっ」

　それもそうだ。そもそも全員が全員、同じ考えなんてことはありえないのだから。

「『窓』が潜んでる可能性だってあるし、見つかればただじゃすまないよ。あ、『窓』っていうのは――」

「非術師でありながら呪いを認識できる存在、ですね」

「そうそう。よく知っているね」

　呪術界の用語については最近になってまた読み返してみたりしていた。中でも一番印象に残ったのは、非術師を呪殺した呪術師は『呪詛師(じゅそし)』と呼ばれ、処刑対象となること。


「夏油様、お客様がお見えになりました」

「ああ、すまない。すぐ行くよ」

「……あら、アナタは昨日の」

　Aに気づいた菅田(すだ)はニコリと上品な笑みを浮かべる。「お邪魔してます」と挨拶しつつもAは少し壁を感じた。

　夏油と菅田が去ってから少しぼんやりしていると「ねえ」と声をかけられ、振り返ると見覚えのある双子がいた。確か名前は美々子(みみこ)と菜々子(ななこ)。

「アンタ、呪術師？」

　ぶっきらぼうな菜々子の様子に戸惑いながらも「一応……」とAが答えると、彼女は美々子と顔を見合わせ、夏油たちの後を追うように去った。

　――なんか、馬鹿正直に答えちゃったけど大丈夫かな。

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