記憶 ページ10
全部、俺が悪かったんだ。
「全部、私が悪かったんだ。」
……………?
自分の思いが声に出たのかと、耳を疑う。
しかし、そうではなかった。
「成績が低い。運動もできない。
可愛げもない。」
自分を馬鹿にしたような言葉。
「私、甘え過ぎたんだ。人に頼り過ぎたんだ。 だから、なんだよね。」
自己肯定が低い。
あの日の自分を見ているみたいで、胸が痛かった。
「私がそんなだから、虐められる。
嫌われる。愛されない。
………裏切られる。私が、悪いんだよ。」
アーヤは俯いた。
思わず、彼女を抱き締める。
くそっ、俺のせいで、アーヤは__________
俺が、悪いんだ。
俺が____________________
「アーヤッ!ごめん、本当にごめん!
……アーヤ。」
『謝って済むことだと思ってるのか!?』
__________閉じ込めていた、あの日の記憶。
繰り返されるあの光景。
頭の中に響き渡る声。
謝って済むだなんて思っちゃいない。
アーヤをこれほど傷付けたんだ。
代償は、俺自身が払う。
必ず____________________
そう考えながら、アーヤを見つめる。
酷く、困惑しているようだった。
俺達を信じていいのか。
信じるべきではないのか。
迷って、悩んで…………
最終的には、俺達を信じて欲しい。
そう強く願い、アーヤを包む腕の力を僅かに緩める。
途端にふらっとするアーヤ。
慌てて支えたが、アーヤはそのまま静かに寝息を立て始めた。
無理もない。
相当神経が張り詰めていたんだろう。
ふぅ……
小さく息を吐く。
その時、小さな声が聞こえた。
「私は……………」
アーヤが、その小さな口を動かして、声を発していた。
注意深く、次の言葉を待つ。
「私は、信じたい……………」
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yuzuka - とっても面白かったです。また色んなお話を書いてください!応援してます (2022年11月2日 20時) (レス) @page45 id: 81843b67d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ - めっちゃ面白すぎて今4周しました!これからも頑張ってください! (2022年8月16日 16時) (レス) @page45 id: 09838c8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
柚菜 - あーー、感動しましたいいお話をありがとうこれからも頑張ってください (2022年1月15日 13時) (レス) @page44 id: 1216b927b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - お返事ありがとうございます^^*もちろんです!お待ちしています! (2021年4月30日 0時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
HUMA(プロフ) - ゆいさん» ゆいさんコメントありがとうございます。嬉しいです。あと本当にもう少しなのでどうにか終わらせたいです。最後までどうかお付き合いいただければ幸いです。 (2021年4月29日 23時) (レス) id: 75b28dedc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HUMA | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/potage1314
作成日時:2016年7月11日 9時