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和やかな雰囲気 ページ4

僕達はしばらく目と目を合わせていたけれど、


「よしっ、なんか話すかっ!」



そう言って、若武がドカッと椅子に腰掛ける。

が、途端にバランスを崩した。



「わわっ!!」



勢いが強過ぎたのか、位置が悪かったのか。


そのまま、床に尻餅をついた。


僕達はドッと笑って腰掛ける。



「何やってんだ、バカ武。椅子から落ちるとか、ダサいとしか言いようがねーな。」



上杉にからかわれ、若武が飛びついた。



「うるせー、バカ杉っ!」



途端に取っ組み合いを始める二人。


いきなり始まった喧嘩に、僕はおろおろする。

だけど黒木は落ち着き払った様子で、小さく言った。



「大丈夫さ、二人共本気でやってるわけじゃない。」



え?そうなの?



「アーヤが居ないうちから、いつもの自分達らしくしてるだけだよ。」



そっか………二人共、分かっててやってるんだ。

一番分かってないのは僕だった。

そう悟って、僕は何だか恥ずかしくなってしまった。


その間にも二人の喧嘩は激しさを増していく。

さすがに、こうも激しくなるとダメじゃないかな?


黒木に目で訴えて助けを求めると、黒木は口を開いた。


「やめろよ、二人共。」


へぇ、今日は止めてくれるんだ、いつもだったら


『今日はどっちが勝つかな。小塚、賭けてみない?』


とか言って止めないのに。

珍しいな。


そう思ってたけど、その後の黒木の言葉を聞いて、納得した。


「ここはアーヤの家だろ。うるさくすると嫌われるぞ。」


途端に動きを止める二人。


そのまま硬直している。


僕は思わず、笑い出しそうになってしまった。


流石、黒木。


この二人の抑え方をよく心得ている。


ま、こういうのも僕達らしいね。



「お前、なにニヤついてんだよ」





いきなり、上杉に小突かれた。

ニヤついてたかなぁ?

自覚はなかったけど。



「んー、なんかすっかりいつもの僕達だなぁと思ってさ。」



そう言うと、三人は顔を見合わせた。



「言われてみれば、そうかもな」



そうして皆で、クスッと笑う。


前みたいな和やかな雰囲気が、僕達の間に広がった。

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yuzuka - とっても面白かったです。また色んなお話を書いてください!応援してます (2022年11月2日 20時) (レス) @page45 id: 81843b67d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ - めっちゃ面白すぎて今4周しました!これからも頑張ってください! (2022年8月16日 16時) (レス) @page45 id: 09838c8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
柚菜 - あーー、感動しましたいいお話をありがとうこれからも頑張ってください (2022年1月15日 13時) (レス) @page44 id: 1216b927b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - お返事ありがとうございます^^*もちろんです!お待ちしています! (2021年4月30日 0時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
HUMA(プロフ) - ゆいさん» ゆいさんコメントありがとうございます。嬉しいです。あと本当にもう少しなのでどうにか終わらせたいです。最後までどうかお付き合いいただければ幸いです。 (2021年4月29日 23時) (レス) id: 75b28dedc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HUMA | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/potage1314  
作成日時:2016年7月11日 9時

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