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翳した拳 ページ3

異常な、程…………?


「ほら、去年の夏にフランス行ったろ、その時に俺が立花を持ち上げたじゃん。それより、ずっと軽い。」


ストレスで、食べれてないとか?

ダイエットとかはしてなさそうだし。


「ストレスからの食欲不振とかが主な原因だと思う。」


うん、そうだろうね。


「やっぱりあいつは、何かを溜め込んでんだよ。誰にも話さずに。」


それを聞きながら、僕はアーヤに思いを馳せた。


そんな風になるまで一人で抱え込んでいたアーヤ。

どれだけ辛かっただろう。


いじめられて、学校に居場所がない状態だったんだと思う。

美門もいないし、集合もしばらくなかったし。


一人の女子が抱え込むには大きすぎる悩みだ。


その辛さを、アーヤの体の状態がよく表していた。


「そうだ、作戦立てようぜ。今度は成功するような、完璧な作戦。」


若武の声に、はっとする。


そうだよね、今後こそは成功させよう。


「何がある?」


若武の問い掛けに、考え込む。

少しして上杉が、ぽつりと言った。


「そもそも、何であんなに尖ってたのか。その原因を考えれば良くね?」


ああ、と声があがる。


「………多分、俺達の接し方がわざとらしく思えたんだろう。ここは、いつも通りいってみたらどうかな。」


黒木の提案に、皆が頷いた。


「そしてアーヤの緊張している心をほぐせば、本当のことを話してくれると思う。」


黒木、よく思いつくなぁ。


アーヤの心情を察し、真実に近づく。

この作戦では、黒木がキーパーソンだ。


黒木ならきっと成功するはず。

そんな気がした。


「それじゃあ、アーヤにはいつも通り接して、頃合いを見計らって本題にたどり着かせるってことで。」


若武が、作戦をまとめる。


「本題にいくタイミングは、黒木に任せていいか?」


若武の問いに全員が頷いた。

すぐに黒木は、僕達を見回して立ち上がる。

そして、強く握り締めた拳を卓上に翳した。


「今度こそ、成功させる。………アーヤを、救おう。」


僕達も次々に立ち上がり、拳を付き合わせていく。

その思いは強く、拳が僅かに震える程。

この動作は二度目だけれど、僕達はどちらにもたくさんの思いを込めていた。



「アーヤを、助けたい」


若武。


「アーヤの、力になりたい」


僕。


「立花と、仲間でいたい」


上杉。


「アーヤの笑顔を、取り戻したい」


黒木。



自然に出てきた言葉達。


それはきっと全てが本音で、痛い程の、アーヤへの想い。

和やかな雰囲気→←震えている手



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yuzuka - とっても面白かったです。また色んなお話を書いてください!応援してます (2022年11月2日 20時) (レス) @page45 id: 81843b67d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ - めっちゃ面白すぎて今4周しました!これからも頑張ってください! (2022年8月16日 16時) (レス) @page45 id: 09838c8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
柚菜 - あーー、感動しましたいいお話をありがとうこれからも頑張ってください (2022年1月15日 13時) (レス) @page44 id: 1216b927b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - お返事ありがとうございます^^*もちろんです!お待ちしています! (2021年4月30日 0時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
HUMA(プロフ) - ゆいさん» ゆいさんコメントありがとうございます。嬉しいです。あと本当にもう少しなのでどうにか終わらせたいです。最後までどうかお付き合いいただければ幸いです。 (2021年4月29日 23時) (レス) id: 75b28dedc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HUMA | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/potage1314  
作成日時:2016年7月11日 9時

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