何が、真実? ページ15
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皆が入った特別クラスには、先客がいた。
一人の女の子。
それは、佐田真理子と一緒にいた一年生の女子だった。
____________なんで、あの子が?
ニコニコと楽しそうにするその子と、皆。
声はノイズがかかったように聞こえないけれど、五人で楽しげに会話をしていることは分かった。
そう、楽しげに。
どうして______________?
あの子は、誰?
なんで皆と楽しげに話してるの?
皆は、なんであの子を輪に入れてるの?
いつもだったら、あの中に居たのは私。
もう皆は、私を必要としていないの?
皆は本当は私をどう思ってるの?
何が、真実なの______________?
次々と出てくる疑問。
それ以上見たくなくて、私は皆に背を向ける。
心に広がった喪失感を打ち消すように、唇を強く噛み締めた。
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『立花』
その言葉が耳に届き、私は振り返る。
それは、女子が発したものだった。
ニヤッとした女子。
言葉に詰まる若武と小塚君。
そっぽを向く上杉君。
静かに目を伏せる黒木君。
反応はそれぞれ。
そして若武が、女子に向き直る。
「立花なんて、仲間じゃねーよ!」
そう叫んだ若武。
そうだ、この時私がこの部屋の外にいたんだ。
ドアは、ほとんど分からないくらい僅かに、開いている。
だから、なのかな。
誰も気がつかなかった。
「いつも遅刻して来るし、今日も来てない。」
皆の言葉を聞きながら、私はこの時の自分の心に思いを馳せる。
「それに、成績だって低い。
俺らの中で一番下だ。彼女の得意分野は国語だけど、国語の出番ってあまりないと思うよ。」
何にも、受け入れられなかったなぁ。
この時は、本当に。
ただただ自分の荒い息と速い鼓動が聞こえていたんだ。
「正直言って、嫌いだ。仲間だと思ったことなんて、一度もない。」
「あいつは、仲間じゃない。」
皆の言葉。どれが、真実?
皆が連ねる言葉は、私を混乱させるだけだった。
混乱しながらも、どこか冷静な私がいる。
それは、さっき見た黒木君の瞳と表情のせいかもしれない。
皆の声から感じた、妙な安心感のせいかもしれない。
よく分からないけれど、うっすらと、真実に近づいている感じがした。
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yuzuka - とっても面白かったです。また色んなお話を書いてください!応援してます (2022年11月2日 20時) (レス) @page45 id: 81843b67d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ - めっちゃ面白すぎて今4周しました!これからも頑張ってください! (2022年8月16日 16時) (レス) @page45 id: 09838c8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
柚菜 - あーー、感動しましたいいお話をありがとうこれからも頑張ってください (2022年1月15日 13時) (レス) @page44 id: 1216b927b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - お返事ありがとうございます^^*もちろんです!お待ちしています! (2021年4月30日 0時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
HUMA(プロフ) - ゆいさん» ゆいさんコメントありがとうございます。嬉しいです。あと本当にもう少しなのでどうにか終わらせたいです。最後までどうかお付き合いいただければ幸いです。 (2021年4月29日 23時) (レス) id: 75b28dedc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:HUMA | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/potage1314
作成日時:2016年7月11日 9時