検索窓
今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:285,839 hit

黒木 ページ27

「…………っていう訳。」



時々若武や小塚の補足が入りながら、話を終えた上杉。



そしてそのまま上杉は、近くにあった椅子に座り込んだ。






ふつふつと湧き上がってきた怒り。

感情を抑え、笑顔を作る。



「そっか、分かった。説明サンキュ。」




小塚達も微笑むが、顔が引きつっていた。




「小塚、ちょっと。」



そう声をかけ、廊下に出る。



「どうしたの?」



若干ビクビクした小塚をそのままにし、俺は勝手に階段をのぼりはじめた。


小塚は慌てて付いてくる。




ここだ。


アーヤと黒木がいるであろう部屋の前に立ち止まった。



「悪いけどさ、黒木と交代してくれない?」



小塚の返事も聞かずにドアをノックする。




「……誰」



機嫌が悪そうな黒木の声。



何でお前が機嫌悪いんだよ。


苛立ちながら返事をする。



「美門。熱出したって聞いて、お見舞いに来たとこ。開けるよ?」




ドアを開ける。

そこにはベットで眠っているアーヤと、その横に胡座をかいている黒木が居た。



チラッとこっちを見たものの、黒木は動かない。



そんな様子にさえも俺は苛立ち、腕を引っ張って立たせた。



「話があるんだけど。」



すぐさま手を払った黒木は、不機嫌な様子を隠そうともしない。



「何だよ」


ピリピリした雰囲気の俺らを見かねたのか、小塚が間に入る。



「黒木、行っておいでよ。僕等はさっき話したし、アーヤの様子は見てるから。」




そう言われた黒木は、わざとらしく大きなため息をついた。




「分かった。」





そのまま俺は階段を降り始める。


後ろから黒木が付いてくるのが分かった。






一階に着くと、俺はさっさと靴を履き、玄関のドアを開ける。




黒木の方を振り返ると、ゆっくりと靴を履いているところだった。




何処か不貞腐れたような表情。




ゆっくり履いているのはわざとだろうが、この顔はどうなのか。




案外、ガキだね、

黒木も。




こんな状況でも、大人過ぎる此奴の新たな一面を発見した気がして、心が躍った。





……苛ついているのには変わりはないけどね。

尋問→←説明



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (353 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
194人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

yuzuka - とっても面白かったです。また色んなお話を書いてください!応援してます (2022年11月2日 20時) (レス) @page45 id: 81843b67d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ - めっちゃ面白すぎて今4周しました!これからも頑張ってください! (2022年8月16日 16時) (レス) @page45 id: 09838c8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
柚菜 - あーー、感動しましたいいお話をありがとうこれからも頑張ってください (2022年1月15日 13時) (レス) @page44 id: 1216b927b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - お返事ありがとうございます^^*もちろんです!お待ちしています! (2021年4月30日 0時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
HUMA(プロフ) - ゆいさん» ゆいさんコメントありがとうございます。嬉しいです。あと本当にもう少しなのでどうにか終わらせたいです。最後までどうかお付き合いいただければ幸いです。 (2021年4月29日 23時) (レス) id: 75b28dedc0 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:HUMA | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/potage1314  
作成日時:2016年7月11日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。