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怖かったんだ ページ18

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そっと目を開けると、視界に飛び込んできたのは見慣れた景色だった。



秀明の玄関。



黒木君と上杉君、若武が居る。


ああ、私の家に行くのか。


小塚君はまだ来ていないみたい。



そっと三人に近寄ると、会話が聞こえた。




「どうして相談しなかったんだよ。」


悔しそうに言う若武。



「今日来れなかったのも、女子からのいじめ関連だろうな、きっと。」



軽く腕組みをした上杉君。



「俺は………薄々感づいてはいた。」



そう呟くように言った黒木君に、若武が飛びつく。



「黒木っ!お前、ふざけんじゃねーっ!」



いきなりの大声に、たくさんの人が振り返った。


上杉君が慌てて若武をおさえる。



「分かってたなら、なんで止めなかった?!」



黒木君の胸ぐらを掴み、言葉をぶつける。



「若武っ!」



上杉君が若武を黒木君から引き剥がした。

そして、強く黒木君を見据える。


黒木君も、上杉君を見つめ返した。




しばしの沈黙。





「………悪い。」



黒木君が俯いた。



「昔から俺達はアーヤに何の配慮もせずに近づいていたからね。
女子の嫉妬もすごいんじゃないかと思った。
まあ、それに気づいたのは最近だけど。
分かっても何も出来なかったのは、」



一瞬、言葉を止める。

迷ったように、視線を彷徨わせた。



が、意を決したように再び口を開く。



「怖かったんだ。」






怖い______________?


黒木君が?




不思議に思ったらしく、若武も上杉君も黒木君を見つめる。



「アーヤがいじめられていることを認識してしまうと、アーヤがチームを抜けてしまうんじゃないかって。嫌われてしまうと思った。俺のせいだって思いたくなかった。」



そして黒木君は、力なく笑った。

自嘲的で、儚い笑みだった。



「弱いよな、俺。ずっと、逃げてた。そのせいで、アーヤがさらに傷ついたのに。」





「俺は、何も出来なかった。」




黒木君の告白に、誰も何も言わない。




その時、小塚君が来た。



少しいざこざはあったものの、皆で歩き出す。




さあ、これからだ。

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yuzuka - とっても面白かったです。また色んなお話を書いてください!応援してます (2022年11月2日 20時) (レス) @page45 id: 81843b67d7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ - めっちゃ面白すぎて今4周しました!これからも頑張ってください! (2022年8月16日 16時) (レス) @page45 id: 09838c8ac8 (このIDを非表示/違反報告)
柚菜 - あーー、感動しましたいいお話をありがとうこれからも頑張ってください (2022年1月15日 13時) (レス) @page44 id: 1216b927b2 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - お返事ありがとうございます^^*もちろんです!お待ちしています! (2021年4月30日 0時) (レス) id: 7efce59d5b (このIDを非表示/違反報告)
HUMA(プロフ) - ゆいさん» ゆいさんコメントありがとうございます。嬉しいです。あと本当にもう少しなのでどうにか終わらせたいです。最後までどうかお付き合いいただければ幸いです。 (2021年4月29日 23時) (レス) id: 75b28dedc0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:HUMA | 作者ホームページ:https://odaibako.net/u/potage1314  
作成日時:2016年7月11日 9時

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