長男たるもの 青×黄 ページ25
※『ONI-CHAN』より。
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【青side】
“ガチャ”
「おかえり。」
「......ただいま...」
玄関から返ってきたのはか細い声。
見ると、リビングに歩いてくる淳太は俯いたままで。
心なしか震えとるような気もする。
...これは、今日の仕事で何かあったんかな。
「......淳太？」
なるべく優しい声色を意識して淳太に呼びかける。
「......なんや、？」
振り向いた淳太は、聞き取れるか聞き取れへんかギリギリの声量で返事する。
その頬には、うっすら泣き跡があって。
「ほら、淳太、おいで。」
両手を大っきく広げてそう言えば、淳太は魂が抜けたようにフラフラとこっちに向かってきて
そのまま俺の胸にダイブした。
「...うん、淳太、よしよし。」
俺の腕の中にすっぽり収まった淳太は、心なしかいつもより小っさく見えて。
淳太を安心させるように、頭をゆっくり撫でてやる。
「...淳太はいっぱい頑張ってるで。
俺らはいつも淳太に助けられてるんや。ありがとう。」
次第に、腕の中からは啜り泣く声が聞こえてきた。
グループ最年長やし、テレビにもいっぱい出とるし、何かと背負うもんも沢山あるんやろう。
そんな責任感の強い最年長に、いつもいつも助けてもらってばっかりで。
やから、せめて淳太がしんどい時は、俺が側で包み込んであげたい。
「よしよし、淳太はほんま凄いで。沢山頑張ってるやん。よしよし。」
背中トントンしながら優しく喋りかけてると、やがて腕の中からは静かな寝息が聴こえてくるようになった。
そっと顔を覗き込めば、淳太は赤ちゃんみたいにあどけない顔でスヤスヤ眠っとる。
「...可愛いらしい寝顔やなぁ。」
30代の男の寝顔とは思えへん。
この人が抱えとるもんを考えると、俺が代わりに全部やってあげたくなってしまう。
でも、淳太が抱えとるもんは淳太しか解決出来ひんから、
俺は俺のやるべきことをやって、淳太が疲れて帰ってきた時には今日みたいに淳太を包み込んでやるんや。
淳太、ほんまにいつもありがとう。
あどけない寝顔に残る泣き跡にキスをして、俺は淳太を寝室まで運びに行った。
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作者名：cucucjjcudd853 | 作成日時：2020年4月18日 6時
