【WT】ゼラニウムの苗を抱く【男主】

No.14 ページ16

一方で嵐山隊の面々は木虎が片脚を撃ち抜かれ、木虎を庇った時枝がベイルアウト。嵐山は欠損こそしていないものの鉛弾を撃ち込まれて事実上使い物にならないので大きく機動力を削がれていた

対する出水、三輪コンビは出水が多少被弾しトリオンが漏れているが彼のトリオン能力からすると致命傷には程遠い

狭い路地で地形戦のカウンターを狙うも相手はそれを警戒したらしく迅の戦う方へ向かい釣り出す作戦に出ていた


　
「おっ！追っ掛けて来た。三輪の読み通り」


レーダーを見ながら当真が言う


「あれ？嵐山さんだけ？…木虎と佐鳥はバッグワーム使ってんのか」


同じくレーダーを見ていた出水が言う


「嵐山さんを囮にして、隠れている木虎が奇襲だろうな。機動力が死んでる以上そのくらいしか取れる手は無いはずだ…そういえば、佐鳥はまだ緊急脱出してないか…一応、狙撃も警戒しておけよ…あとは煌月か。奈良坂と古寺を落とした後だから行くなら当真さんの方だろうが合流する可能性もゼロじゃないな」


三輪は機嫌の悪さを隠すこともせずそう捲し立てるように告げる
三輪と出水が反応のある場所に向かえば、公園に嵐山が居た


「嵐山さん見っけ！メテオラ！」


見つけて早々に言うと、トリオンの弾が嵐山の周りに雨のように降り注ぐ
盾を出して攻撃に耐える嵐山が短く呻いた


「うへぇ…罠だって分かっててもでてこなきゃなんないのが正義の味方のツライとこだな」


公園の見える建物の一室から見ている当真が言った。イーグレットを覗き込み、指は引き金にかけている。あとは一番いいタイミングで撃つだけの万全の状態である

トリオンの弾が止み、土煙の上がる中、盾の周囲を喪失しながらも嵐山が姿を表した


「うおぉ！耐えるなぁ嵐山さん」


出水が驚いたように声を上げ、それを見た三輪は銃を構え、深追いはするなと釘を刺した。これは、この状況は。どうもおかしい


(…この状況で誰も出てこないだと？俺達を彼方に行かせたくないなら出てきて然るべきだろう。煌月はまだ合流できていないと考えればわかるが…木虎は何処にいる？)


奇襲を警戒している三輪だが、まったく襲ってくる気配がない。バックワームを使用している以上、直接見つけるしかないのだが上手く隠れているらしく見つからない


「嵐山さん。アンタの有能な部下と、煌月は何処に行った？どうせ連絡はしているだろう。アンタを囮に奇襲するつもりじゃないのか？」

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