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調子に乗って走っていると立花の手が急に行く手を阻む。
勢いよく飛び越えたが、目の前には本棚。
自身を止めれず思いっきりぶつかった。
拍子に本が頭に落ちてくる。

痛って〜!

落ちてきた本を睨むとそれは澁澤の本。
うまい具合(?)に挿し絵があるページ。

ひゃ〜〜!
た、立花、本伏せて!

慌てて飛び退き、本に向かって威嚇するように鳴いた。

やっぱダメだ……多分一生、澁澤作品は読めねー……
っうか、本棚衝撃でも澁澤衝撃でも猫のままって……一体どうすれば起きるんだよ、俺!

「もう! 何してんの、まったく…」
怒るように本を拾い上げ、本棚に戻す。

すみません……

大人しく沈と座って反省。
俺を一瞥すると、クスッと笑った。
「反省したなら許してあげる。さぁ、寝ましょうか。」

あのさ、立花、俺すでに眠ってるんだけど、どうすれば良い?
逆に起きる方法教えてくれないか?

バタバタと明日の用意をし、寝る準備をする立花を右に左に頭を動かし眺める。
隣の裕樹さんに消灯のお願いをすると、やっと落ち着いたようだ。

さて……俺はどうしようか……
部屋も真っ暗になるしな……
布団に入る立花を眺めていると、俺を見て動作が止まった。

「もう…仕様がないわね。おいで。」
言うなり俺を抱上げ布団の中へ。

え!? 違う!
勝手に解釈するな。
俺は一緒に寝たいなんて言ってない!
これはさすがにマズいだろ?

「こら!大人しくしなさい!」
厳しく一喝される。

はい……

うわぁぁ……どうしたら良いんだ……
立花の顔、間近にありすぎ。
緊張して動けねー

立花の瞳が何か言いたげに俺を見ている。
ジッと瞬きもしないで覗かれる俺の目。
何だよ……言いたい事あるならハッキリ言え!

「猫ちゃんて……上杉君に似てるね。」

な、何言ってんだよ!?
寝言は寝てから言えよな!

俺の身体はますます硬直し苦しいほど。
けれど立花はそんな俺なんて、どこ吹く風。
眠気にまどろんだ顔が優しく微笑む。

猫の眼って、本当に良く見えるんだな……
暗闇の中でも長い睫毛が微笑みながら、ゆっくり伏せられていくのが分かる。
綺麗だ……

あ……やっぱ俺、立花のこと……

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り一 - この薬のんでみたい! (2020年5月22日 14時) (レス) id: a9605826b0 (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - 葵さん» めっちゃ褒めすぎですよ、葵さん(汗)でも楽しんでいただけたなら嬉しいです。ありがとうございました。 (2019年4月20日 23時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
- なんと表せば良いのか分からないくらい、読んでいてワクワクしました!凄く想像力が豊かだからこそこんなに素晴らしい作品が書けると思うので、ほんと尊敬します(p^-^)p (2019年4月19日 22時) (レス) id: 5cf405873d (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - みなみさん» 読んでくださり、ありがとうございました。いくつか掛け持ちをしているのでメドがたってから作りたいと考えています。妄想は絶えずしてますので、ネタはあるんですが(^_^;) また新作を出した時にはよろしくお願いいたします。 (2018年11月25日 0時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - また新しい作品読みたいです!応援してます! (2018年11月24日 21時) (レス) id: 405036adca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千祥 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年3月28日 0時

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