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頭を撫でる裕樹さんはゆっくり話しだす。
「母親ってさ、どうして子供を自分の物だと思ってんだろうな……」
?
「自分の価値観と違えば目くじらを立て、理想を押しつける……俺には自由が無いのか?」
おぉ! 裕樹さん、解る! 解ります!
俺達子供ってのは親の所有物じゃねーつうの。
ここ最近の親の煩わしさを思い浮かべ、裕樹さんの腹に前足をパスンッとぶつけた。
するとフッと笑い、目を伏せる。
「……猫に愚痴るなんて俺、終わってんな……格好悪りぃ。」
いや、俺、猫であって猫ではないんで。
裕樹さんみたいな人と共感できることが、すっげー嬉しいです!
できれば人として話したかった……
裕樹さんの瞳を見て、敬意を込め一鳴きすると、ドアをノックする音。
「お兄ちゃん、そっちに猫いる?」
ドアの隙間から顔を覗かせる立花。
「あぁ、いる。」
「良かった。確認だけ。」
短い会話を交わすとすぐドアを閉めてしまった。
淡泊だな……男と女の兄妹ってこんなもんなのか?
そう言えば立花から裕樹さんの話って聞かないよな……仲悪いのかな?
「なぁ、猫。あいつ男いると思う?」
は? 男!?
いや〜、たぶんいないと思いますよ。
「兄の欲目じゃないけど、あいつ顔はマシだと思うんだけど……
けど?
「華が無いんだよな。普通あれくらいの歳になると色気付くだろ?特別オシャレでもねーし、化粧するわけでも無い。」
確かに。男でも女でも背伸びしたい年頃だ。
塾でも同じクラスの女は休憩時間、テキスト見ながら爪磨いてるもんな。
でも立花が仮に同じ事してたら……俺、嫌だな……
「俺的には塾の、KZのメンバーにいそうな気がするんだが……」
そ、そうなんですか!? だ、誰ですか?
「しかし……いつも電話してくる小塚って奴は地味だし、若武はチャラいし、黒木は……色気がありすぎる……俺だって一応、兄という立場じゃん?義弟への理想ってのがあるわけよ。」
・・・・
俺達って、そんな風に見られてるんですね。
客観的な見解なんて聞いた事が無いから、少なからずショック。
ちなみに俺は?
裕樹さん、俺は裕樹さんにどんな風に映ってるんですか?
理想の義弟って、どんな人間の事言ってるんですか?
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り一 - この薬のんでみたい! (2020年5月22日 14時) (レス) id: a9605826b0 (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - 葵さん» めっちゃ褒めすぎですよ、葵さん(汗)でも楽しんでいただけたなら嬉しいです。ありがとうございました。 (2019年4月20日 23時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんと表せば良いのか分からないくらい、読んでいてワクワクしました!凄く想像力が豊かだからこそこんなに素晴らしい作品が書けると思うので、ほんと尊敬します(p^-^)p (2019年4月19日 22時) (レス) id: 5cf405873d (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - みなみさん» 読んでくださり、ありがとうございました。いくつか掛け持ちをしているのでメドがたってから作りたいと考えています。妄想は絶えずしてますので、ネタはあるんですが(^_^;) また新作を出した時にはよろしくお願いいたします。 (2018年11月25日 0時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - また新しい作品読みたいです!応援してます! (2018年11月24日 21時) (レス) id: 405036adca (このIDを非表示/違反報告)
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