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夢でも見たオリーブの木にドアノッカー。

なんとなく気分が重い。
夢を見ただけなのに、とても疲れた感じ。
黒木君とどんな顔をして会えばいいのか悩んでしまう。

「アーヤ、入らないの?」
玄関の前で躊躇っていると後ろから声をかけられた。
爽やかな笑顔の小塚君……少しムッとしてしまう。

小塚君、あの薬のせいで私は困ってるんだよ。
筋違いなのは分かっている。でも今は小塚君にしか向けることのできない不服。

「入るよ。」
無愛想に返答してしまい、小塚君は驚いた顔をしている。

ごめん、小塚君……今は話しかけないで……

書斎に入るとすでに皆来ていた。
何の話だか、やけに盛り上がっている。
私は夢で見た男子だけの話なんだろうな。と思い、いつものデスクに静かに座って話が終わるのを待った。
気づかれないよう黒木君を見てみると、別段変わった様子は無く楽しそうに話しをしている。

今の黒木君はどっちなんだろう……
本当の黒木君は今どこにいるの?

問いかけたくなる疑念が胸で渦を巻いていると、はたと横切った考えに胸がすく。

あ……別に私と夢を共有した訳では無いから恥ずかしい事も気にやむ事も無いんだ……
そうだよ、黒木君があの薬を飲んでいたとしても同じ夢のはずが無い!
今、目の前にいる黒木君が黒木君。
私の夢は所詮夢。現実とは違うもの!

一気に心が軽くなったところでやっと先日の事件の反省会が始まった。
反省会は相変わらず若武の独壇場に近く、時々上杉君や翼と言い合いながら進んだ。

事件の話が終わって皆は島崎さんが焼いてくれたクッキーを食べ始めた。
でも私は先にノートを纏めたかったから、クッキーはお預け。
一生懸命纏めていると目が少し疲れて、手の甲で押さえるように目頭をマッサージした。

「アーヤ、猫みたいだね。」

えっ!?

見上げると翼がノートの上にクッキーが乗ったソーサーを置いてくれた。
ドキドキしながら「そうかな……」なんて言うと、私の頭に顔を近づける。

「うん。猫の匂いもするよ。」
「そ、そんな訳ないでしょ!?」
思わずムキになって言うと、翼はニッと笑って「冗談。」だって。

もう!今日はやめてくれないかな?

その冗談、洒落にならないから……

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り一 - この薬のんでみたい! (2020年5月22日 14時) (レス) id: a9605826b0 (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - 葵さん» めっちゃ褒めすぎですよ、葵さん(汗)でも楽しんでいただけたなら嬉しいです。ありがとうございました。 (2019年4月20日 23時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
- なんと表せば良いのか分からないくらい、読んでいてワクワクしました!凄く想像力が豊かだからこそこんなに素晴らしい作品が書けると思うので、ほんと尊敬します(p^-^)p (2019年4月19日 22時) (レス) id: 5cf405873d (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - みなみさん» 読んでくださり、ありがとうございました。いくつか掛け持ちをしているのでメドがたってから作りたいと考えています。妄想は絶えずしてますので、ネタはあるんですが(^_^;) また新作を出した時にはよろしくお願いいたします。 (2018年11月25日 0時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - また新しい作品読みたいです!応援してます! (2018年11月24日 21時) (レス) id: 405036adca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:千祥 x他1人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年3月28日 0時

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