夢のおくすり

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ミルクを飲みながら、ある物が気になった。
ワインセラーの下に何かある。

今の私は気になったら行動せずにはいられない。
ワインセラーの下でお尻を高くして床に顔を付け、目一杯手を伸ばした。
クイッと手首を動かすと、シュルシュルと音をたて回転しながらワインセラーの下から飛び出た。
そして、またもや黒木君の足元へ。
私は自分の意思とは関係無くそれに飛びついた。
無意識の行動に自分でも驚く。

なぜ？
………あ、そうか………
子猫って、小さくて動く物に反応しちゃうんだよね……本能ってこわい………

「ミミ、今度は何を見つけたの？」
黒木君は私が押さえている物を屈んで取り上げる。

学校の名札だよ。
何故あんな所にあったの？

「あ……こんな所に落ちてたんだ……ダメだな、俺、物をよく無くすんだ。ありがとう、ミミ。」

・・・・

黒木君の“隙”見つけた。
そっか、黒木君、『紛失男子』(私命名)だったんだ……

なんだか複雑……

黒木君の意外な一面、“隙”を見つけられて少し嬉しいんだけど……

前に読んだ事がある。『物を無くす』事は深層心理で、その物に対して“不要の物”としているんだって。

私が見つけた物はパワーストーン、DVD、名札。

黒木君の深層心理にある“不要な物”って何？
もしかして“自分”て事？
見極めないといけない自分、影武者と言う自分、そして全てを兼ねた“黒木貴和”と言う人間。
黒木君はもしかして“殻”を破りたいのかな？

う〜ん……奥が深い……

私は今の黒木君でも友達として、KZのメンバーとして、とても好きなんだけどな。
“不要”だなんて思わないで欲しいな。
黒木君はKZに無くてはならない人なんだから。

“殻”を破るのは黒木君自身にしか出来ない事。

協力は出来ないかもしれないけれど、応援はするよ。
心配しないで、皆が……私が傍にいるから……

ただし……私が先に“殻”を破らないとね……

この“猫”と言う殻を……

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