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私は身体を丸め、目を閉じる。
このまま眠るのよ……自分に言い聞かせる。
が、突然沸き起こる生々しい記憶。
黒木君の瞳、黒木君の匂い、そして……黒木君の唇……
もう!何思い出してるのよ!!
忘れるのよ、ミミ!
記憶を抹消するのよ、立花彩!
身体を更に丸くして、閉じた目に力を入れる。
しかし、安眠妨害は記憶だけでは無かった……
猫はやっぱり耳が良い!
時計の音や車が通る音、そして風の音!
ここって高い位置にある家みたいで、風の音がよく聞こえる。
真夜中の海岸を思わせる風の音に私は落ち着きを無くし、廊下の電気はささやかな希望の光に思える。
ふと顔を上げてみると、テレビに映る小さな光。
何、何の光?
小さな光は2つあって、ゆらゆら揺れている。
やだ……恐い……
私は直ぐ様ソファから飛び下り、廊下へ向かった。
すると、入り口から出たところに腕を組んで壁にもたれた黒木君。
え?
黒木君、ずっとそこにいたの?
「やっと来たね、アーヤ……」
私を抱き上げ、得意な顔で微笑む。
もしかして……私の行動……読まれていたの?
「ミミの瞳はよく光るね。暗い部屋でもミミがどこにいるのか、すぐに分かったよ。」
また黒木君の瞳の位置に私の瞳。
黒木君の瞳は本当に綺麗……
純黒の瞳に背徳の美を思わせる危険な色香。
見つめ続けると錯覚を起こしそうになる。
私は顔を背けた。
あ、そう言えばテレビに映ってたの、私の目だったんだ……
どうして気づかなかったんだろ……揺れていて当たり前だよね……
そうと分かれば恐くない。
黒木君、降ろして……
「ん?ダメだよ、もう離さないよ。」
艶やかな微笑をたたえる黒木君はもちろん降ろしてくれる筈はなく、抱えられたまま玄関の戸締まりを確認し、廊下の電気を消された。
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り一 - この薬のんでみたい! (2020年5月22日 14時) (レス) id: a9605826b0 (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - 葵さん» めっちゃ褒めすぎですよ、葵さん(汗)でも楽しんでいただけたなら嬉しいです。ありがとうございました。 (2019年4月20日 23時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんと表せば良いのか分からないくらい、読んでいてワクワクしました!凄く想像力が豊かだからこそこんなに素晴らしい作品が書けると思うので、ほんと尊敬します(p^-^)p (2019年4月19日 22時) (レス) id: 5cf405873d (このIDを非表示/違反報告)
千祥(プロフ) - みなみさん» 読んでくださり、ありがとうございました。いくつか掛け持ちをしているのでメドがたってから作りたいと考えています。妄想は絶えずしてますので、ネタはあるんですが(^_^;) また新作を出した時にはよろしくお願いいたします。 (2018年11月25日 0時) (レス) id: b78f8b2173 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ(プロフ) - また新しい作品読みたいです!応援してます! (2018年11月24日 21時) (レス) id: 405036adca (このIDを非表示/違反報告)
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