こっち見てよ ページ2
「ねぇデンジくん、こっち見てよ」
横の席のデンジくん、デビルハンターとして働いてる。最近高校に転入してきた。
「んぁ〜?ンだよ、なんかくれんの?」
机に頬杖をついて横目で見てくる。反対の手をこっちに伸ばすので、手を握ってみる。
「ンなッッッ―――」
バッと振り向いて、耳を赤くして目を見開いて口をぽかんと開けているその姿は純粋な少年らしくて可愛い。
そんなに照れなくていいのにね。
「どうしたの?デンジくん」
ぎゅ、と再度握りしめると、グンと体温が上がるのが分かる。茹でたタコみたいに真赤になる。
「あっ、あ、あ、あああ!」
向こうを向いたと思うと向こうも反射で握り返してくる。ふふ、かわいい。
「ねぇデンジくん、なんでこっち見てくれないの?」
きょとんと首をかしげても彼はずっと向こうを向いたまま、こっちを見てくれない。
このやりとりも、横の席になってもう3週間ほぼ毎日やっているというのに慣れてくれない。
顔も声もだーいすき、毎日家の前までついて行ってるけど家には「ルール」があるらしくて入れてくれない。
デンジくんとは、今まで一度も目が合ったことがない。のぞき込んでも目をそむけられてしまうのだ。
「ざーんねん、じゃ、また明日ね」
と、手を離すとデンジくんは大きな深呼吸をして机に突っ伏した。
私は自分の鞄を手に取って帰路につく。
「あーあ、デンジくん。こっち見てよ」
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作者名:みずきち | 作成日時:2023年5月12日 23時