【誰ディア/CS集】夕焼け小焼け【ふみを】

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「印？ ああ、それならここにある。……不思議そうな顔だな。それもそうか、クラスメイトや親に見られると面倒だから見えないようにしてる。本当はこの下にあるよ」

「犬は愛くるしい。猫はかわいい。要は…そういうことだ。……愛くるしいだけじゃ不満なのか？ 案外欲張りなんだな、お前」

「わがままなのは嫌いじゃない。それだけ俺のことを信用してくれてるってことだと思う、し……。理不尽と親しくもない相手にされるのは嫌だけど」

「別に…人と会話するのが嫌いなわけじゃない。じゃあなんでって…もういいだろ、この話は終わり。……何なんだその顔は」

「愛着とか執着、とか…まあ、そういうのは分からなくもない。分からなくもないけど、それがどうしてそういう行動に出るのかが分からないんだ」

「……あ──。いや、駄目なわけじゃないんだ。その……頭を撫でられたことなんて、10年くらいなかった、から……少し驚いただけというか、だから……ッ今度もまた上手くできたら、また──……」

「消させない。お前の存在がこの世から無くなるのは、誰よりも俺が嫌だ。お前がいなくなるなんて言うなよ、俺のことが大切なら、そんなこと口にしないで……」

「一人になるのは嫌だ。一人よりも二人が良い。一度でも二人でいることがあれば、誰だってそう思うよ」

「俺がお前のことを覚えていれば、お前はいなくなったりしないのか？ じゃあ、俺以外の世界中の人間がお前のことを忘れたら、俺が死んだときにお前は──嘘。冗談。何でもない」

「線香と蝋燭の匂いは好きだよ、落ち着く。何もかもを忘れていられるから」

「あ。……それ、買ってきてくれたのか？ ありがとう。いただくよ──あ、ああ、待った、これ、落ちッ──……あーあ」

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