13 crystal* ページ16
オロチside
「着替えて参りました………!」
Aが着替えから戻ってきた。
紫色の着物を着ていて、帯の深緑色がアクセントになっていた。
ひとつ結びの髪が歩くたびに揺れている。
「どうですか?オロチさん。」
Aは少し頬を紅潮させて言った。
Aが着物を着て登場した時、少し驚いた。 想像していたよりもよく似合っていた。
「…いいんじゃないか……。」
少し動揺してAにそっけなく答えると、えんらえんらが近づいてきて私の耳元でAに聞こえないように言った。
「あら〜、本当はすごく可愛いんじゃないの〜?」
「なっ、何を言って…!」
「やっぱりそう思ってるんじゃない〜。顔が赤いわよ〜!」
「そっ、そんなこと…! 」
とは言っているものの私の顔は真っ赤だろう。
「ふふっ、素直になりなさいよ〜」
「ああっ、もう!少しあっちに行ってくれっ! 」
Aはキョトンとした顔だ。こちらの声は聞こえてないのだろう。
「どうかしたんですか、オロチさん?」
「なっ、なんでもない !
少し風に当たってくる!」
そう言って私は逃げるように部屋を出て行った。
はぁ、Aに気付かれなくてよかった…。
と思うと同時になんだか全く気付かれなくて少し悲しいような、変な気持ちだった。
…これは、一体どういう感情なのだろう。
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作者名:すみ恋。 | 作成日時:2015年3月21日 13時