*First Step* -今度こそ踏み出すために-

~クリスマス~　番外･HPB編3 ページ33

「……A、もう大丈夫だから」
「わだしが、だいじょぶじゃ、ないんです……ッ！」

ゲーム時代と変わらない、神々しい雰囲気を放つこの神殿。

そこには、わたしの泣きじゃくる声と、それを見たソウジロウ君の慌てる声だけが響いていた。

「……すみませんでした、心配をかけて」
寝台のようなところに腰かけていたソウジロウ君は、いまだしゃがみこむわたしと視線を合わせようとしたのか台を降りて膝を折った。

「わた、しっ、ソウジロウ君が、あの殺人鬼にっ、斬られて、しっ死んじゃうとこ、見ちゃって……」
「……あちゃー、見られてましたか」
かっこ悪いなあ、じゃないでしょ。
あの時どんなに胸が張り裂けそうに痛かったか、知らないでしょ。

子供のように泣き喚いて、苦しさを、辛さを、全部ぶちまけた。

「もっと……大事にっ、してよっ」
「僕にとってはAが一番大事です」
「自分のこと、なんだと思ってっ」
「必要な犠牲でした」
「それは貴方じゃないといけなかったの？」
「他の被害を減らすためと、あとは僕の気が済まなかっただけですね」
難しいことは分かんないです、とソウジロウ君。
わたしがうつむいているから顔を見れないけど、きっと苦笑いしてるんだろうなあ。

「……というか、大事な人には笑ってて欲しいんですが」
そう言ってわたしの顎をくいっと持ち上げた。

「そ、ソウジロウく」
「……ネックレス。着けてくれたんですね」
嬉しそうな声。優しい微笑み。
視線の先には、わたしの首もとにつけられた……ソウジロウ君から貰った、あのネックレス。

「うん、やっぱり似合ってる。……クリスマスプレゼントの準備が出来てないのでもう少し待ってください」
「んな……そんなのいいですっ、それより」
「それより、何ですか？」
優しくも強い眼差しに射止められ、口をつぐむ。

「……貴方が何ともなくて良かった。被害の拡大といっても、どちらかというと貴方への被害を恐れてました。早く手を打たなければ……と、また先走ってしまいましたね」

背中に腕を回されてぎゅ、と抱き締められる。

その温かさに、また涙が出そうになった。

〜*〜*〜*〜
「うっひょー、ええ感じやんかぁ！」
「しっ、マリエ！気づかれてしまいますわよ」

気を効かせて出ていった女子組。かわい((殴

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