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~番外 2~ ページ21

「でも、早く帰ってきて、こんなことしても意味なかった、作らなくても貴方は私の前に戻ってきてくれたって、笑い飛ばせたらなあって」

“Aの心の穴を埋めてやってほしい” リーゼさんをはじめとする、彼女と親しいここのギルドメンバー達にそう頼まれ、ここに通うのは最近の日課となっていた。

「今日でね、150羽」

ちょうど1ヶ月経ったことを指していた。

以前から彼女は、ギルド内でも重要な役割を担っていたらしい。

自身がクレリックであるため、ギルドの回復職の訓練を指揮したり、高山さんの書類整理を手伝ったり。

「もちろん僕も、ギルドの方々も、彼だけでなくあなたの事も心配しています」
「……ありがと。そうだね、いつまでもじめじめうじうじしてちゃあしょうがないよね。クラさんがいなきゃ何もできないなんて、ただの弱虫だ」

リーゼもすごく頑張ってるもんね。お手伝いから始めようかな、なんて笑う。

どうしようもなく、苦しかった。

僕じゃあ、彼女の心を埋められないことが。

いそいそと“それ”を机の隅に追いやると、Aはまた取り繕ったような笑顔を見せる。

「ごめんね、心配かけて」

前みたいなーまるで太陽のような暖かくて綺麗な笑い方に直るのは、きっと彼が戻ってきてから。

そう思うと、もうどうしようもなく感情がぐちゃぐちゃになって。

「……っソウ君!?」

気がつけば、彼女を抱き締めていた。

「そ、ソウく」
「僕じゃ、だめですか」
「え?」

小さくなったなあとつくづく感じていた彼女の肩に、更にぎゅっと力をこめる。

「僕はあなたのことが」

ああ、言ったら彼女を苦しめる。

ーそれでも、いいんじゃないか?

心の奥底の悪魔が囁く。

ーあの狂戦士から横取りできたら、結果オーライじゃないか。

「Aのこと、好きなんです」
「ソウ君、あたしクラスティさんのこと」
「それでも好きです」

びくっと彼女の体が強ばる。

「僕なら、ずっとあなたの側にいられる。隣で守っていられる。この命に代えてでも」

ソウ君、と蚊の鳴くような声で名前を呼ばれる。

「……ごめん、今だけ胸貸して」

そういうと僕の胸に顔を埋めたA。

しばらくすると、嗚咽が漏れてくる。


今だけ。その言葉が胸にちくりと刺さったけれど、それでもいい。




彼女が側にいてくれるのならば、何だってする。

~第57歩。~→←~番外 『僕じゃなくって』~


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設定タグ:ログ・ホライズン , ソウジロウ=セタ , 恋愛   
作品ジャンル:アニメ
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夜の花 - とても良い話でした!ソウジロウ君の夢小説、完結は少ないのですが最後まで読めて嬉しいです!これでテストも頑張れる…! (2021年4月10日 21時) (レス) id: 22491bc67a (このIDを非表示/違反報告)
黒崎暁月 - 彼方さん» PS,上手く書くコツですか……(^_^;) 私自身まだまだだと思っているので教えてほしいくらいです(こら) ううん、言葉を選んで遊ぶというか、「こんな言い方したら面白いんじゃね?」みたいなのは心がけている……というか、つい楽しくてやってしまいます(だからどうした) (2016年6月7日 18時) (レス) id: 2822cfc68d (このIDを非表示/違反報告)
黒崎暁月 - ありがとうございます!! 画像の投稿は、ヘルプから画像のアップロード(だったかな……)をすれば出来ますが、ログインしていないと出来ないかもしれません(>_<) 分かりづらい説明でごめんなさい。イラストは是非載せさせて頂きたいので色々調べてみますね! (2016年6月7日 18時) (レス) id: 2822cfc68d (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - 初めまして、彼方と申します。この度は夢主樣のイメージイラストを描かせて頂いたのですが、お恥ずかしながらどう投稿すれば良いのか分からず・・・。教えて頂けませんか? P.S黒崎暁月さんの作品、大ファンです!出来ればうまく書くコツ教えて頂けませんか? (2016年5月25日 0時) (レス) id: f81975a2a2 (このIDを非表示/違反報告)
黒崎暁月 - るぅさん» ですね、私も書きながら「何でこいつら爆発しないんだろう」と何度思ったことか(こら) 優しいお言葉ありがとうございます! 第一志望に合格してここに帰ってこれるよう、頑張りたいと思います……!!!!!! (2015年12月28日 20時) (レス) id: 942e2bf01a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒崎暁月 | 作成日時:2014年10月30日 20時

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