*First Step* -今度こそ踏み出すために-

~第57歩。~ ページ22

「あのね、とっても苦しいの」
「うん」
「自分じゃないみたいな自分がいて」
「うん」
「……気づいたの、わたし。ソウジロウ君のこと、どうしようもないくらい好き」
「うん」
「でも、こんな嫌な感じのわたし、ソウジロウ君に嫌われちゃうって、思って、わたしっ……」

ぶわああ、と涙が溢れる。

大丈夫、という優しい声と共に背中に伝わる手の温もり。

滲む視界に温もりの持ち主……セララちゃんを映すと、優しく微笑んでいた。

それを見てまた涙が湧いてくる。

「まあ、飲め飲め」

あははっと笑ってマグカップを渡してくれるセララちゃん。
ありがとう、と小さく答えてそれを受け取って口をつける。

「……あっづぁ!?!?」
「ええ!?あ、わわ、ごめん、大丈夫っ?!」
けほけほと咳き込むと背中に回された手の回転スピードが上がる。
「……ごめん、大丈夫」
「わわ、ごめんね？よく冷まして飲んで！」
「うん……」

ふーふーと息をかけ、ちまちまと飲み始めた。

「……あ、美味しい」
「良かったあ！へへ、これでも『家政婦』ですからっ！」
「ふふ、セララちゃんかわいい」
「うえっ!?そ、そんなっ！Aちゃんの方がっ」
「わたしはぜーんぜん。かわいげのないがきんちょドジですよー」
「……Aちゃんは、ほんとにかわいいよ」
「……え？」

セララちゃんは真っ直ぐわたしを見て言う。

「何でかな。とってもキラキラして見えるの」
それは、わたしがセララちゃんに思うことと一緒。

「恋する乙女だから、かな？えへへ。でも、だから」

次の、セララちゃんの言葉。この言葉がきっと、ずっと欲しかったんだと思う。

「もっと自信を持って、いいんだよ！」

ああ、また泣いちゃう。

「お、おお!?うん、泣くだけ泣いてねっ!!」

ちょっと焦りながらもずっと隣に居てくれたセララちゃんに、心の底から感謝を伝えたい。

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