【仮住】明日もここで (ページ10)

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10 服従ページ10

大きな音の正体はテラさんだった。本橋さんと一緒に駆け寄る。鼻血の付いたティッシュの量を見るに、貧血で倒れてしまったようだ。2人で手当をしていると、天堂さんがこちらへ来る。
「おや、テラさんは貧血ですか？」
「あ、天彦さん。多分そうです。」
医者顔負けの動きを披露する本橋さん。何をすればいいのか分からない私は、ティッシュの山を捨てることにした。気絶しているのか、テラさんの意識は戻らない。
「では、天彦が部屋まで連れていきましょう」
見かねた天堂さんが提案してくれる。言葉に甘えようとしたとき、本橋さんが声を上げた。
「いえ！僕がやります！天彦さんは座っててください！」
「いやでも依央利さん…」
天堂さんは何かを言い淀んでいる。そんなことは気にもとめず、本橋さんはテラさんを背負おうと手をかける。…しかし、中々持ち上がらない。それを見た天堂さんは、やはり…と、いったような表情を浮かべている。
「依央利さん、ここは天彦にやらせてください」
「嫌です！ここは“女又隷”の僕がやります！」
部外者である私が口を出していいものか悩んだ末に、言ってみることにした。
「2人で運ぶのはどうでしょうか…？」
「天彦はいいですが…依央利さんが…」
気まずそうに天堂さんが本橋さんを見る。本橋さんを見ると、俯いて微かに震えている。
「…はぁ〜？ Aさん、いいですか？」
本橋さんは、怒っているような呆れているような声で女又隷の矜恃について語り始めた。
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バレないようテラさんを運び終えた天堂さんが戻ってきた。それを確認してホッとしていると、
「ですから……って天彦さん！」
どうやら気づかれてしまったようだ。本橋さんは勢いよく天堂さんの方に向かっていく。
「Aさん、あとで女又隷契約を結んで貰いますからね！」
本橋さんは振り返って高らかに宣言する。これは大変なことになりそうだ…なんて他人事のように考えてしまう。女又隷契約なんて、そうそうしていいものじゃないだろう。角を立てずに、かわす方法を考えておかなければ。そういえば、鍵の業者はいつ頼もうか。やはり土日も一緒に過ごさせて貰うのは申し訳ないし、迷惑になってしまうだろう。悩んでいると、伊藤さんが
「A、泊まる間の部屋、ここ使いなよ」
そう言って205号室の鍵を渡してくれた。どうやらベッドなのどの、家具は元からあるらしい。しかし、ひとつ引っかかる。

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引き継ぎで戸惑ってました。更新頑張ります。