【仮住】明日もここで (ページ8)

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8 住人ページ8

それから流れるように豪邸へ案内される。道中分かった事は、彼の名前が“伊藤ふみや”で、19歳ということだけだ。私についての質問が多かったように思う。
家にお邪魔すると、黒髪の男の人が出迎えくれた。が、伊藤さんは連絡をしていなかったらしく、黒髪さんはかなり驚いていた。突然の訪問で本当に申し訳ない。しかし、普通は誘拐を疑われるだろうか。目の前で漫才のような会話が繰り広げられた。
「ふみやさん！？誘拐ですか！？」
「…困ってたから連れてきた。」
「今の間はなんですか！？ちゃんと確認とってますか！？」
「まぁまぁまぁ」
とりあえず本人の意思はあるので安心して欲しいところだ。しかし、それを伝えるタイミングを見失った。問い詰める黒髪さんと、のらりくらりとかわす伊藤さん。止めることも出来ず、置いていかれる。どのくらい経ったか分からないが、尋問が続く中、奥から声が響いた。
「依央利く〜ん、そろそろお茶のおかわり頂戴〜！」
まさに鶴の一声。さっきまで問い詰めていた黒髪さんは、元気よく「は〜い！」と返事をして走って行く。それを見送りながら伊藤さんは「上がっていいよ」と、さも問題なさそうに言う。流石に良くない気がして遠慮したが「じゃあこれからどうすんの」の一言で丸め込まれる。
伊藤さんの背に身を隠しながらリビングに入る。思っていたよりも倍の広さで、自分が居ていいものなのか心配になる。そんな私にお構い無しで、伊藤さんはソファへと進む。それにより、部屋の中央に取り残される私。ソファに座っている、金髪の男の人？と目が合う。
「ん？ ……伊藤ふみやー！」
大声が響いた。
────────
簡潔に言うと、誘拐されたと勘違いされ、テラさんによる事情聴取を受けた。その時に、同意の上であることと、理由を伝えた。しっかり絞られた後、この家に住む人について教えてもらうことになった。
出迎えてくれた黒髪さんは“本橋依央利”さん。人に尽くすことが好きらしい。
目の前の綺麗な金髪さんは“テラ”さん。伊藤さんによると、よく鏡を壊すらしい…。
部屋に籠っていることが多い“湊大瀬”さん。もし会ったらちゃんと挨拶しよう。
色々なことに反発する“猿川慧”さん。慣れれば扱いやすいらしいが…あまり自信が無い。
今はお風呂に入っている“天堂天彦”さん。最年長だが、ヱ口オヤジらしい。どういうことだろうか…？
伊藤さん含める6人以外にもう1人居るらしいのだが、その説明をする前に、丁度新たな人が現れた。