7 雨 ページ7
拝啓、お母さんへ
私は今、とても個性豊かな方々に囲まれています。ポールダンスが始まったり、女又隷契約なるものを迫られたりしています。私はここから無事に帰れる気がしません。
なんて、手紙を書く想像をしながら、目の前で起きている事を眺める。正直何が何だか分からない状況だ。何故こんなにもカオスなことになっているのか。心当たりといえば、数時間前に遡るだろう。
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金曜日、やっとの事で用事が終わり外を見る。かなり集中していた私は、外の雨が激しくなっていることに気が付かなかった。これ以上酷くなる前に帰らなければ、と思い素早く荷物をまとめて店を出る。雨は少し落ち着いていたので、足早に駅に向かう。傘を差していても、足元は守りきれずびしょびしょだった。
最寄り駅で降りると、残金が少なかったので、チャージすることにした。その時、気がつく。色々と足りていないのだ。さっきまで持っていた傘と、鞄の中にあるはずの家の鍵、2つの物を一気に無くしてしまった。傘はきっと電車の中だろう。安いビニール製だったのがまだ救いか…しかし鍵が無いとなると、家には帰れないだろう。濡れるのは構わないのだが、そのまま家に入れないのはマズイ。
悩みに悩んだ末、友達に連絡することにした。しかし結果は惨敗。やはり成人済み、誰も彼も恋人や仕事、課題に忙しいようだった。
そこから私は何を考えたのか、あの公園に行くことにした。走る気にもならず、トボトボ歩く。最初は鍵を取りに行こうか悩んだが、営業時間外なため迷惑だろうと思い辞めた。行きつけの店ということで、鍵については安心したいところだ。
体の芯まで冷えた頃、公園に着いた。やはり草薙さんは居ない。そもそも居るとは思っていなかったのだが。ただ、公園に向かった事は間違いではなかったのだろう。これからどうするか悩んでいると、後ろから声を掛けられた。
「アンタ、大丈夫?」
「ぇ、」
かなり裏返った返事だったと思う。振り返るとそこには、オレンジ色の上着を着た男の人がいた。人に話しかけられるとは思っていなかったので、かなり気が動転したのだろう。正直どんなことを話したか覚えていない。ただ一つ覚えていることは、家に帰れない事を伝えると「じゃあ、
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作者名:つよさ | 作成日時:2023年12月16日 23時