怪しの森 4 ページ49
ツナside
もう誰とも逸れないように、Aの手だけは絶対離さないように、必死に走り続けて数分が経った。
雨はいつのまにか止んで、俺たちはたどり着いた樹の下でようやく息をつく。
もう自分たちが、山を下ったのか上ったのかもわからなかった。
ツナ「A、大丈夫……っ！」
連れてきたAを振り返ると、そこには涙目で震えるAが、苦しそうに肩で息をしていた。
貴「…ツナ…こ、怖かった…！」
ポロっと涙を零したAが、俺の胸の中に子どものように抱きついてくる。
ツナ(そっか。A、おばけ苦手なんだっけ。)
今更それを思い出して、思わずその体を受け止めると…柔らかく滑らかな肌に手が触れた。
それだけで俺はまた顔が熱くなって、思わずAの体を引き剥がしてしまう。
貴「！」
ツナ「お、落ち着いてA。
ひとまずリボーン達を探して山を下りなきゃ」
貴「…そうか…そうだよな。
早くみんなで帰らなきゃ…夕方のジンクスの件もあるし。」
Aのその言葉にチクンと胸が痛んだ。
ツナ(A…XANXUSとジンクス試すつもりなんだ。)
貴「…ツナ、顔色悪いよ。寒いのか？」
ツナ「え？いや、あんまり寒くはないけど…さっきの雨でパーカーが濡れたからかな。」
上に着ていたパーカーを脱ぎ、濡れたそれを絞る。Aはそれをパッと取ると…手から嵐属性の炎を出した。
ツナ「あ…服、乾いた！」
貴「分解の特性でな。ほら、早くこれ着て……え？」
乾いたパーカーをすぐにAの肩にかけた。
すると、Aはキョトンとした顔をして目を丸くする。
貴「な、なんでオレに？ツナが着なきゃ…」
ツナ「俺は全然大丈夫だから。
それに…Aの方が、震えてるよ。」
炎を出した手が震えているのがさっき見えた。
パーカーを着て露出が少なくなったAをようやくまともに見ることができる。
ツナ「ま、まだ寒い？」
貴「…違う。本当に苦手なんだ。
幽霊とかお化けとか、人の魂が怨みを持って蘇ってくるの。」
Aの声は少し上ずってて、その瞳はまだ涙を零しそうに潤んでいる。
こんな彼女を突き離したさっきの自分が、恥ずかしくて情けなくなった。
貴「大丈夫だから…もうちょっと、もうちょっとだけ…休んでもいいか？」
ツナ「…うん。」
今は動き回るより、Aを休ませるのが優先した方がいい。
俺はそう判断して足下の大きな木の根に腰掛け、Aの隣に並んだんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 157人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らっく(プロフ) - しらすさん» お互い頑張ろうとして空回りしてますよね、ツナも花村ちゃんもwさてさてもうすぐ旅行1日目も終わりです！ (2018年2月28日 13時) (
レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
しらす - 今回の話 ツナのダメっぷりが存分に出ている…w 彼パーカーとか 萌えの究極だー！！！ツナには頑張って チャペルに行って欲しい…ついでに好きな相手がリボーンだという勘違いも正してくれると…w (2018年2月27日 23時) (レス) id: 3d84dab3ef (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - 明日か明後日11です〜今回もたくさんのコメントと評価と登録ありがとうございました！ (2018年2月26日 23時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - ルナさん» 幽霊疑惑出てきましたねwもうすぐ11！更新頑張ります！ (2018年2月26日 22時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - え、なになに…めっちゃ先が気になる！！らっくさんなかなか焦らしてきますねぇ……も、もしや幽霊…だったりします？ (2018年2月26日 17時) (レス) id: 9b1390adf3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：・
| 作成日時：2018年2月16日 13時
