追いかけっこは終わらない 2 ページ10
貴「うーん、うーん…」
悩ましげに眉をひそめるAにイラつきが募る…と同時に、少し喜ぶ自分がいる。
だって、彼女をこのままここに留めればAは沢田のところへ戻らない。
ただ怒るだけでなく僕は、久しぶりにAと2人きりになれたこの状況を楽しむことにした。
雲雀「ねえ…」
革張りの椅子から立ち上がりAに近づくと、Aは一旦謎解きをやめて僕を見た。
端整で中性的な顔立ちに青い瞳。
もともと人目を惹く容姿であるとは思っていたけれど、恋心を自覚してからは以前よりも可愛く見える。
サラッと肩につく黒髪に手をやると、Aはようやく不穏な空気を感じ取る。
でも、逃さない。
雲雀「答えが分からないなら、代わりにキスしてくれてもいいよ。」
貴「はい！？し、しませんが！」
雲雀「なら僕は修行に行かない。
なんならこのまま帰宅する」
貴「えっ！」
僕はAが正答を答えてもキスを要求するつもりだったし、どうせなら…と正答を出せなくてもキスを迫ることにする。
ダブルバインドされたAは、僕を帰らせたくはないらしく「あー、うー…」とまた唸りながらこの状況を乗り切る方法を考え始めた。
でも僕は、考える隙を与えることもなく
彼女の顎に手を添えて上を見させる。
貴「いっ！いや、キスはダメですよ！？」
慌てて止めるAに僕は特に表情を変えることもなく言った。
雲雀「なら帰る。」
貴「そ、それは…嫌です…」
困り顔で小さくそう言ったAが可愛くて、もう僕は答えを待つのをやめた。
ぐぐっと顔を近づければ、Aは顔を赤くして僕の肩を両手で押し返す。
貴「ちょ、待っ、それは…！」
雲雀「問答無用。帰らせたくないなら大人しくして」
そう意地悪を言うと、Aは一瞬泣きそうな顔をして子どものような表情を見せる。
彼女の頭に今浮かんだであろう沢田の顔が、伝染するように僕の中にもチラついて…
それでも関係ないとばかりに僕は唇を近づけた。
雲雀(…泣かせたくはないし、唇すれすれくらいでガマンするかな)
加減を覚えながら、Aの力を押さえ込んでキスをしようとしたその時…
「無理やりはいけませんよ。
好意を持っている相手になら、尚更です」
貴/雲雀「「！」」
気配もなく窓から入って来た赤ん坊…風がやんわりと僕を止めた。
貴「風さん！」
一気にAの表情が明るくなって、彼女は僕の手をすり抜ける。
追いかけっこは終わらない 3→←追いかけっこは終わらない 【中3 5月/雲雀】
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千景 - とても面白いです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 13時) (
レス) id: b982409f44 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 殿堂入りおめでとうございます！ (2018年6月7日 1時) (レス) id: 9b1390adf3 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - ギャグにするの忘れてた（白目） (2018年4月28日 22時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - 明日から5月中旬まで忙しいので更新はゆっくり目です (2018年4月22日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - しらすさん» 白蘭と近くなったけど、ツナとすごく遠ざかったわけではないと言う感じですね。ツナの隣が落ち着くことには変わりないけれど、それが『特別』ではないと言った感じです。ここからどうなるか気になりますね〜！ (2018年4月22日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：・
| 作成日時：2018年4月22日 14時
