卒業までの僕ら 8 ページ8
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そして迎えた卒業式。
「本当に寂しいです！」
「たまには顔出しに来てくださいね！」
式典が終わり、Aの周りには大勢の女子や男子が集まってAに別れを告げる。
貴「ありがとう。たくさんの後輩に慕われて、オレは嬉しいよ。並盛中学のことは頼んだよ」
Aは優しい声色でそう言いながら、思わず誰もが見惚れるような切なげな笑顔を浮かべた。
校庭に咲き誇る桜がAを祝うように舞い散って、Aが一瞬、春風に消えてしまいそうに見えた。
ツナ「…A！」
思わず声をかければ、Aは俺に気づいていつものボーイッシュな笑みを浮かべる。
貴「ツナ！…なんだ、第2ボタン誰にもあげてないじゃん」
卒業証書の入った筒で自分の肩を叩きながら、Aはつまらなさそうにそう言った。
ツナ「あ、あげる相手なんていないよ！」
A以外には…なんて思うけど、Aは欲しいなんて一言も言わずに自分の男子制服を見た。
貴「私も並中の制服は好きだから崩したくなくて、誰にもあげないって断ってきたんだ。」
ツナ「…誰にも？」
貴「？ ああ、誰にも」
俺にだけはくれるんじゃないかって淡い期待は簡単に砕けて…肩を落としながらも、俺はAにもらったカメラを制服のポケットから取り出した。
ツナ「A、2人で撮らない？」
貴「お、いいね。
…去年はお兄さんたちを撮る側だったのにいつのまにか撮られる側だ。1年間あっという間だったよな」
ツナ「うん、本当にね。」
近くにいた後輩にカメラを任せて、俺とAは桜の木の下で2人並ぶ。
1年前とは何も変わらない、Aと見る風景。でももう2度と訪れてはくれないこの景色を…俺は目に焼き付けようと必死だった。
そんな俺の気も知らないで、柔らかな笑顔でAが俺を見上げる。
貴「…ツナ。」
ツナ「ん？」
貴「これからもずっとずっと、隣にいてくれよな」
ドキッとするような可愛い笑顔に、心奪われながらコクコクと頷く。
後輩の声にポーズを取るのも忘れて、俺はただ愛おしそうにAを見下ろしていた。
別れのない春。
『これからも』と約束した桜の季節に、俺はただ胸を躍らせていた。
この時の俺には想像できなかっただろう。
まさかこの日の夜に、リボーンから『自分の間違った選択』の話を聞かされて…中学生と共に自分の恋が終わりを告げるなんて。
この時の俺はなにも知らなかったんだ。
追いかけっこは終わらない 【中3 5月/雲雀】→←卒業までの僕ら 7
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千景 - とても面白いです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 13時) (
レス) id: b982409f44 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 殿堂入りおめでとうございます！ (2018年6月7日 1時) (レス) id: 9b1390adf3 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - ギャグにするの忘れてた（白目） (2018年4月28日 22時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - 明日から5月中旬まで忙しいので更新はゆっくり目です (2018年4月22日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - しらすさん» 白蘭と近くなったけど、ツナとすごく遠ざかったわけではないと言う感じですね。ツナの隣が落ち着くことには変わりないけれど、それが『特別』ではないと言った感じです。ここからどうなるか気になりますね〜！ (2018年4月22日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：・
| 作成日時：2018年4月22日 14時
