卒業までの僕ら 3 ページ3
雲雀side
貴「…っ、ひっく…うっ…」
真冬の校舎。
ほとんどの3年生は受験の結果を待つだけで、午前の短縮授業を何の気なしに受けるだけ。
誰もいなくなったはずのその階の教室で、君が泣いていた。
雲雀「…A？」
貴「！」
思わず声をかけた僕に、彼女はビクッと肩を動かして顔を上げる。
その零れた涙に濡れた頬をAは即座に朱色に染めて、慌てたように両目を拭った。
貴「雲雀さん…！
す、すみません！3年生は早く帰らないといけないのに…」
雲雀「…最終下校時刻はまだまだ先だよ。
ところで、なぜ泣いていたの。」
そっと教室に入り、とある机の前で泣く彼女へと近づいた。
その座席の主を僕は誰だか知っているから、胸の中がざわめく。
けれどAは僕の不安を消すように、恥ずかしそうに言った。
貴「…もうすぐ卒業でしょう。
オレ、ここの景色をもっと目に焼き付けようと思って、1人で残ってたら…無性に寂しくなっちゃって…」
雲雀「…卒業なんて、まだ2週間も先でしょ」
貴「『まだ』じゃなくて『もう』ですよ！
あー、でもお恥ずかしいところを見られてしまった…式では泣かないようにしなきゃ。」
ぐしぐしと涙を綺麗に拭って、別れの時を待つAに少し安堵した。
だって…
雲雀(……沢田のことで泣いているのかと思った。)
秋のある日、Aは沢田にフラれたらしい。
両想い寸前だった2人がどんな流れでそうなったかなんて知らない…知る必要もない。
ただ分かっているのは…今も沢田はAのことが好きで、でもAの気持ちは見えなくなってしまったということだけだ。
Aは今も沢田の隣にいる。
それが当たり前のように、失恋した事実なんてなかったように、出会った頃のようなそのままの2人で。
雲雀「A。」
貴「へ？ちょっ、またですか…やめてくださいよ。」
問答無用でAを優しく抱きしめれば、Aは仕方なさそうに大人しく腕の中におさまった。
…沢田に遠慮してやるつもりなんかない。
どんな事情であれど、僕はこの腕の中の柔らかな体温を諦められない。
けれど、引っかかってしまう。
Aの心は本当に前を向けているのかと。
雲雀「君、もう沢田のこと好きじゃないんでしょ。ならいいじゃない」
貴「そういう理由で嫌がってるわけじゃないんですよ…オレがツナを諦めたことと貴方の気持ちに答えられるかどうかは関係ないんですから。」
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千景 - とても面白いです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 13時) (
レス) id: b982409f44 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 殿堂入りおめでとうございます！ (2018年6月7日 1時) (レス) id: 9b1390adf3 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - ギャグにするの忘れてた（白目） (2018年4月28日 22時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - 明日から5月中旬まで忙しいので更新はゆっくり目です (2018年4月22日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - しらすさん» 白蘭と近くなったけど、ツナとすごく遠ざかったわけではないと言う感じですね。ツナの隣が落ち着くことには変わりないけれど、それが『特別』ではないと言った感じです。ここからどうなるか気になりますね〜！ (2018年4月22日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：・
| 作成日時：2018年4月22日 14時
