追いかけっこは終わらない 9 ページ17
貴「へ？まあ…そりゃ当然に風さんのが憧れですよね。」
深く考えることもなく当たり前のようにそう答えるAに、僕は堪忍袋の緒が切れそうになる。
けれどその前に、彼女は笑みをこぼしながら言った。
貴「だって、オレは雲雀さんのライバルじゃないですか。貴方は…ツナとは別の意味でオレが肩を並べたいと思ってる存在です。
だから敬意こそあれど『貴方になりたい』とは思いません。」
雲雀「…。」
それはかつて、強かったAと戦いたいがために、僕が一方的に与えた立場。
僕の牙を研ぐにふさわしいと決めたあの時の言葉は、色恋にうつつを抜かして君を『好きな人』としか見ていなかった自分を、今になって我に帰らせた。
貴「あっ、今は『もうライバルじゃないよ』とかいうの無しですからね！
雲雀さんやツナと同じくらい強くなって…また雲雀さんから逃げ回れるようになるのが当面の目標なので。」
雲雀「…逃げ回るのが目標なんて、向上心が高いのか消極的なのか、意味不明だよ」
貴「あはは、たしかに。
でも…『王』を超える強さを目指すって、オレにはそんなイメージです。」
…僕は君が好き。君はそれをもう知ってる。
その好意を拒絶されて、僕ばかりが君を追いかけてると思っていた。
でも、君も同じように僕を追いかけていたなんて…どうして気づけていなかったのか。
走り、遠い背中を追い、互いが互いの目標に向かって僕たちは今も走ってる。
君は沢田を見るばかりでなく、ちゃんと僕の背中も見据えていた。
雲雀「…きっと、先に追いつくのは僕だね」
貴「？ …うわ！？」
Aの答えに気を良くした僕は、Aの顔を覗き込むように…唇の横にキスをした。
貴「なっ、な、なな、なんで急に…！」
雲雀「僕を追いかけてる君に負けないように」
貴「い、意味がわからない！」
真っ赤になって声を上げるAにクスッと笑って、僕は彼女の先を歩き出す。
『恋愛』と『強さ』
それぞれ違うグラウンドで互いの背中を追う僕らは、どちらが先に追いつくことができるかなんてわからない。
でも僕は負けず嫌いだから、きっと君より先にゴールしてみせるだろう。
雲雀「君からの誕生日プレゼントはそれでいいよ」
さて、今日はとびきりの贈り物をもらってしまったから…サプライズを大人しく受け入れるくらいのことはしてあげよう。
後ろをついてくるAを見ながら僕は上機嫌にそんなことを思ったのだった。
ファナティック 1 【中3 秋】→←追いかけっこは終わらない 8
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千景 - とても面白いです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 13時) (
レス) id: b982409f44 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 殿堂入りおめでとうございます！ (2018年6月7日 1時) (レス) id: 9b1390adf3 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - ギャグにするの忘れてた（白目） (2018年4月28日 22時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - 明日から5月中旬まで忙しいので更新はゆっくり目です (2018年4月22日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - しらすさん» 白蘭と近くなったけど、ツナとすごく遠ざかったわけではないと言う感じですね。ツナの隣が落ち着くことには変わりないけれど、それが『特別』ではないと言った感じです。ここからどうなるか気になりますね〜！ (2018年4月22日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：・
| 作成日時：2018年4月22日 14時
