追いかけっこは終わらない 8 ページ16
着替えたAと僕は、珍しく2人で歩きながら裏山を目指す。
Aが会話を振っては僕がそっけなくそれに答え、途切れ途切れのコミュニケーションが僕たちの沈黙を埋めた。
雲雀「…そういえば今日は草壁を見てない」
貴「そうなんですね。風邪かな…
5月病とかじゃなければ良いですけど…」
貴(なんて…ヒバードと一緒に裏山で待ってますけどね。)
わざとらしくサプライズの用意をしているであろうメンバーの話題を振っても、Aはサラッと嘘をついてそれをかわす。
全く、本当に分かりやすいんだか分かりにくいんだか。
貴「にしても、風さんに修行つけてもらえるなんて楽しみだな〜。
代理戦争で戦った時すごく強かったし、弟子のイーピンがあの若さでヒットマンとして活躍してることを思うと、きっと分かりやすく教えてくれるんでしょうね。」
どこか尊敬するような眼差しでここにいない彼の話をするA。
沢田のことを聞かされるよりはマシだけど…だからと言って他の男の話をされるのが快いわけではない。
それにも構わずAは話を続ける。
貴「オレ、もし男して生きることを決めたら、あんな人を目指そうかな〜。
優しくて強くて、屈託無く褒め言葉をサラッと言えて、頼り甲斐があるような人に…」
雲雀「…。」
無視してスタスタと歩く僕から、一定の距離を離さずにAはついてくる。
苛立ちから少し速度が上がったことに、Aは気づいてない。
貴「風さんってけっこう、ある種の男性としての理想ですよね。呪解したときの姿もかっこよかったし。」
そこまで聞かされたところで耐えきれなくて、僕は彼女を振り返って勢いよく睨んだ。
突然立ち止まって怖い顔をする僕に、Aはビクッと足を止める。
貴「ど、どうされました？」
雲雀「…仮にも10年後の僕は君の師匠だったわけだけど」
貴「へ？」
雲雀「君は結局、怖い僕よりああいう優男に憧れるわけ？」
皮肉にも、彼と顔が似てる自覚はある。
なのにこの扱いの差はなんなんだ。
Aは僕に『10年後の恭弥さんみたいに優しくしてほしい』と言ったことはあるものの、こうやって褒めてくれたり憧れたような話をしてくれたことなんか1度もない。
こうも比べられれば腹が立つのは当然じゃないか。
追いかけっこは終わらない 9→←追いかけっこは終わらない 7
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
千景 - とても面白いです！更新頑張ってください！ (2018年8月15日 13時) (
レス) id: b982409f44 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 殿堂入りおめでとうございます！ (2018年6月7日 1時) (レス) id: 9b1390adf3 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - ギャグにするの忘れてた（白目） (2018年4月28日 22時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - 明日から5月中旬まで忙しいので更新はゆっくり目です (2018年4月22日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
らっく(プロフ) - しらすさん» 白蘭と近くなったけど、ツナとすごく遠ざかったわけではないと言う感じですね。ツナの隣が落ち着くことには変わりないけれど、それが『特別』ではないと言った感じです。ここからどうなるか気になりますね〜！ (2018年4月22日 19時) (レス) id: b617ebd231 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：・
| 作成日時：2018年4月22日 14時
