40話 ページ41
血のハロウィンから2週間。
そしてエマちゃん事件から少し経って。
オレは三ツ谷君に呼び出され、彼が通う中学校に訪れていた。
三ツ谷に頼まれたと言うペーやん君に連れて来られたのは家庭科室。
「此処だ」
「え？家庭科室？」
何でこんな所に……？
そう1人で困惑していると聞き覚えのある声が後方から聞こえてきた。
「あれ、タケミっち君何で此処にいんの」
「黒脛さん！？」
「お疲れサマーバケーション。つっても、もうサマーの時期とっくに過ぎたけど」
声の主である黒脛さんは緩く手を振りながら此方に向かってきた。
クリーム色のカーディガンはサイズが合っていないのか、手は隠れているし歩く度に肩からずり落ちている。
三ツ谷君ってペーやん君だけじゃなくて黒脛さんとも同じ学校なのか！
あ、そういえば三ツ谷君は黒脛さんと幼馴染みって言ってたっけ……。
「林君は相変わらずギラギラした格好してるんだね」
「お前何しに来たんだよ！三ツ谷から出禁って言われてんだろ！」
「出禁！？」
思わず大声を上げてしまった。
出禁！？家庭科室を！？何やったんだよこの人！
目の前にそびえ立つ扉と黒脛さんを交互に見つめる。
「何したんですか黒脛さん！」
「忘れた」
「えぇ！？」
「多分どうでもいいこと」
相変わらずの何を考えているか分からない顔で虚空を見つめる黒脛さん。
すると勢いよく家庭科室の扉が開き、三つ編みの女の子が1人出てきた。
「ちょっと林君！！」
「う"っ」
「また部長を誑かしに来たの！？部長は今忙しいから帰って！！」
「いやオレは……」
「何その格好！？そんな服着てるから────」
押され気味のペーやん君にオレは唖然とする。
この人ペーやん君相手に凄いな……オレが女の子ならビビって目合わせるのも無理！
その時、ぬっと隣から開かれた扉に手が伸びる。
そのまま扉を抑えるかのようにその手には力が込められた。
「安田さんこんにちは。相変わらず可愛いね」
言わずもがな、黒脛さんの手である。
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作者名：雨野夜都 | 作成日時：2021年8月24日 5時
