4話 ページ5
いつもと変わらない教室に、いつもと変わらないクラスメイト。
ありふれた、お世辞にも楽しいとは全く思えない学校生活。
いつもと違うことと言えば────
「嫌だ」
「そこを頼む」
隣の席の知人が必死に頭を下げていることくらいか。
「女子になってから出直してこい」
「どう頑張っても無理だろ。お前オレの頼み断る気満々じゃねぇか」
「女子に優しく男子に厳しくがモットー」
「女尊男卑の思考強すぎだろ」
窓から入ってくる風で揺れる銀髪。
大振りのピアスと剃った眉が不良であることを助長させる。
男の名は三ツ谷隆。翔奏とはまた別の幼馴染み。
小3……いや、小4?ん?あれ、いつから一緒だっけか?
まぁどうでもいい。過去なんて振り返っても時間を無駄に浪費するだけで無意味だ。
過去なんて、思い出したくもない。
「後で奢るから頼まれてくれA」
「バカなこと言うなよ隆。お前が女装して校舎内逆立ちで1周して初めて対等な関係だよ」
「殴るぞテメェ」
そう言う割にその拳は既に腹に直撃していた。痛い。
もしかして不良って煽りの耐性ついてない感じ?
「柴の坊ちゃんに送るから早く」
「余計するか!」
「まず頼みって何だっけ?」
「この……っはぁ…!」
ぴきりと浮いた青筋はそのままに、隆は1度深く息を吐くと座り直した。
「今日の夜、武蔵神社に来て欲しい」
「青少年健全育成条例に違反することでもされるの?」
「どちらかと言えばする側だろお前。今日も朝から職質されやがって」
自分も制服着てるのに職質されるなんて思わなかったよ。
今日で何回目だったかな、職質。
「借りてた服返そうと思ったんだけど持ってくんの忘れちまってよ……今日夜予定入っててお前ん家行けないから取りに来て欲しい」
「郵送しといて」
「夜7時くらいに来い」
「行かないって言ったよね。その耳は飾りかな?その飾り、役に立ってなさそうだから外してあげるよ」
付属品と一緒にね、とピアスを指さす。
「ああ言えばこう言いやがって……分かった。今日から1週間毎日甘いモン奢ってやる」
「行きます」
黒脛A、不覚にもあっさり誘惑に負けました。皆許せ。翔奏のせいで金が足りねぇんだ。
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神凪翔奏
・黒脛Aの幼馴染み。年がら年中引きこもり。
・
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作者名:雨野夜都 | 作成日時:2021年8月24日 5時