13話 ページ14
大勢の人々。
賑やかな雰囲気。
食欲をそそる香り。
柔らかい光を放つ提灯。
「うわ人すげぇ」
当然のように隆の忠告を無視して訪れた武蔵祭り。
人の心がないだって?残念、隆の説教より翔奏の駄々こねの方が面倒なんでね。
不良のいざこざに巻き込まれて死んだら……まぁ自分の人生その程度の価値だったってことで。
こんな奴が死んだところで困る人はいないですしお寿司。
あーあの射的にいる女の子可愛い。
あっちのたい焼きの所にいる金髪の子も可愛い。
うお、金髪の子の隣の人こめかみに刺青入ってる。ヤのつく職業の方?
…………ん?こめかみに刺青?
あれ、よく見たらあの人辮髪だ。
「あの人ドラケン君か」
だからどうということはないのだが。
自分はわざわざ声を掛けに行く程できた人間ではないから。
それに、こういう場で声を掛けていい思いをした試しがない。
地味に辛いんだよなぁ、あれ。まぁ全面的に自分が悪いのでしょうがない。
「…………たまにはやろうかな」
射的。
あ、可愛い子目当てじゃないよ。気分転換。本当だよ信じてくれ。
翔奏に頼まれた物以外のお土産も買って帰りたいし。
「1回お願いします 」
「お、いらっしゃい!1回ね!」
ポケットから500円を出してコルク銃を貰う。
3回……3回か。
うーん翔奏何が欲しいかな。
テキトーにやっていればそれなりの物は貰えるかな。
そうと決まればさっさと撃とう。後ろが詰まってしまう。
何より右手にぶら下げたカステラを温かい内に翔奏に届けたい。
パン──1発。
パン──2発。
パン────3発。
店主の唖然とした顔がやけに滑稽に見えた。
周囲の客の視線が一斉に自分に注がれる。
「ラッキー」
特賞と派手に書かれた下に置かれた箱が、カタンと小さな音を立てて落ちていった。
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作者名:雨野夜都 | 作成日時:2021年8月24日 5時