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ヘアカット(祈り)2 ページ46

観覧車が転がり、キュラソーが重機で
突っ込んだところは広場の中央付近だった
ため、さくらは観覧車の下にそっと花束を
置く。
鉄筋の大きな柱を支える無機質なコンクリート
部分に、優しい香りを湛えるユリの花。
そのコントラストが余計に悲しみを深くした。

 さくらはゆっくりしゃがみ込んで手を
合わせると、長い時間故人の冥福を祈った。

 昴はようやく立ち上がったさくらに
向かって、静かに声をかけた。

 「組織がNOCリストを狙っていると理事官に
リークしたのはあなたですね?」
昴の問いにしばらく沈黙が流れる。

 「ええ。組織内でもトップシークレット
だったこともあって、私がその計画を知った
のは実行の当日だった。すでにキュラソーは
警察庁に潜入していたわ。
『ゼロ』を通していたのでは間に合わない。
危険を承知で直接理事官に知らせたの。」
さくらはユリの花束をジッと見つめたまま
答えた。

 「組織に情報のリークがバレないように、
キュラソーが使った潜入用のIDカードに不備が
あったようにPCで細工をしている時に、
首都高でのカーチェイスの事を知ったわ。
キュラソーのメールの事もハッキングで
分かっていたから、メールの内容を書き換え
ようとしたんだけど…。
キャンティが私の部屋にやって来て…
結局一部を消すことしか出来なかった。」
 当時を思い出し、さくらは苦しい表情を
見せた。

 「バーボンとキールが拘束された時、
あなたはどこにいたのですか?」
「私はアジトに居たわ。
ジンは二人を始末するつもりだったから、
私には何も教えてくれなかった。
皆が水族館に集まっている頃、私はアジトで
航空自衛隊の動きを見張るように指示されて
いたし。キュラソーの事はベルモットから
聞いたの。」
「そうだったんですか…。」

 キュラソーが乗った重機が観覧車の重みで
潰れ、爆発炎上する様をさくらが目の当たりに
していたら…。
考えただけでもゾッとする。
その時自分はそばに居なかったのだから…。
昴はその時の事を思い出し、小さく息を
吐いた。

「戦闘機を撃ち落としたのって…昴さんで
しょう?」
「え? ああ。そうです。」
やっぱりね、とさくらはクスッと笑った。

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設定タグ:迷探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月22日 13時

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