ケンカ5 ページ43
「ッ! りお?」
「ごめんなさい。私もいけなかった。
ちゃんと話せばこんなことには…。」
赤井の胸元に頬を付けると、彼の呼吸と
体温を感じた。思わず目を閉じた。
そんなりおの頭を赤井はそっと撫でた。
「りお…仲直りのハグを…してくれるか?」
「うん。もう抱きついちゃってるけど…。」
照れくさそうに赤井の顔を見上げた。
「俺が少しかがまないと…。これじゃあ
木にしがみ付いたコアラみたいだ。」
「だ、誰がコアラよ…。秀一さんが
身長高すぎなの!」
文句を言いながら腕の力を抜いた。
体と体が離れたところで、赤井は左手で
りおのあごに触れる。
「?!」
くいっと上を向かされたと思ったら、
そのまま二人の唇は重なった。
ぬるりと差し入れられた舌が、りおの舌を捕らえる。
「ッふ…ぅ…ん…」
鼻に抜けるような甘い吐息が赤井の耳まで
届くと、キスはさらに熱を帯び深く
なっていった。
ようやく唇が離れると赤井はぎゅっと
りおの体を抱きしめた。
「HAG&KISSを貰ったから、これで
仲直り成立…だな。」
「き、キスするなんて言っていなかった
じゃない! 反則よ! 反則!」
はぁはぁと息を切らしたりおが反論した。
「お前相手にハグだけな訳ないだろう?」
そう言って笑う赤井の顔は嬉しそうだ。
「あなたのその笑顔…ずるいわよね。」
りおは困ったような顔で、ため息交じりに
つぶやいた。
「そんな笑顔見せられたら…どんなに腹を
立てていても許したくなっちゃう。」
「なら、りおに怒られた時はこうやって
笑っていれば良いわけだ。」
「意図的にやったらもっと怒ります〜。」
ベーッと舌を出した。
りおの顔にくっくっと笑いながら
「俺は…」と言いかけ、笑顔のまま赤井は
りおに手を伸ばす。
「俺は…お前がそばに居てさえくれれば…
いつだってこうやって笑っていられるよ。」
大きな手がりおの頬にそっと触れる。
りおはその手に自分の手を重ねた。
「工藤邸に帰ったら…美味しいカフェオレを
淹れてくれる?」
「ああ。いくらでも淹れてやるよ。」
「先週録画した映画…一緒に観てくれる?」
「日曜日に録画したやつだろう?
りおが楽しみにしてた映画。今日一緒に観るって
約束してたよな。もちろん。一緒に観よう。」
手を重ねたままりおは目を閉じた。
50人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aki | 作成日時:2020年1月22日 13時