番外編：ペリドットとアンバー短編集3【名探偵コナン】【赤井秀一】【安室透】 (ページ42)

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ケンカ４ページ42

「秀一さん。確信犯でしょう。」
赤井に背を向けたままりおは呟く。
「ああ。変装をしていなければ、この時間だ。
組織の者に見られては…と、必ず部屋に
入れてくれると思っていた。」
サングラスと帽子を外すと、そっと居間の
キャビネットに置いた。
沈黙が流れる。

　最初に口火を切ったのは赤井だった。
「珍しいな。ミネラルウォーターを飲んで
いたのか？最近は体が冷えるからと言って
飲まなかったのに。」
PCの横に置かれたペットボトルを見て、
赤井が尋ねた。
「秀一さんが淹れてくれるカフェオレ以上に、
美味しいカフェオレを淹れられないから…。」
「りお…。」
りおは顔を背けたままだったが、自分の
淹れたカフェオレを美味しいといって
くれた事は、素直に嬉しかった。

　「ボウヤから話は聞いた。
俺にも黒い車は見えていた。だがお前が
飛び出した直後にポルシェではないと
気付いたんだ。
一瞬だったし、お前はその車に気付いて
いないと思っていた。」
向こうを向いたままのりおを、ジッと
見つめながら赤井は声をかけた。

　「あの一瞬ですべてを…判断したのか？
俺に銃を撃たせず、男の体格を計算し、
反対側の歩道まで車と接触せずにたどり着けると。」
「ええ。黒い車をやり過ごせば、そのあと2台分の
車間が空いていた。そこにタイミングを合わせ
れば問題ないと。男とはぶつかった時に体格を
把握していたから、上手く反動を使えば
行けると判断した。」
りお説明に一点の淀みも無い。

　「そうか…。俺が心配しすぎるんだな。
てっきり人命救助のみで飛び出したものと…。
お前の能力を見くびっていたようだ。」
赤井はそう呟くと、大きなため息をついた。

　「今回は俺が悪かった。許してくれ。」
赤井の言葉を聞き、りおは驚いて振り向いた。
「俺を…許して…くれるか？
お前に…その…出ていかれるのは…
かなり堪えるんだ。」
りおと目を合わせず、寂しそうに赤井は
つぶやいた。

　「お前が出て行った音が聞こえて、
どうして分かってくれないんだと腹が立った。
だが、ボウヤの話を聞いて、分かっていなかった
のは自分だったと情けなくなったよ。
途端にドアの閉まる音が耳に残って…。
何故あの時、ちゃんと話を聞いてやらな
かったんだと…ものすごく後悔した。」
グッと拳を握り閉め、下を向いたまま話す
赤井を見て、りおも辛そうにうつむいた。
思わず赤井に抱きついた。