Don'tsay cute.2 ページ33
「ここにあっても目の毒だからと
言ってね。」
グラスを2つ用意しながら赤井は上機嫌だ。
「おでんと日本酒だなんて屋台みたいね。」
りおはドラマで観るような小さな屋台を想像して笑う。
トクトクとグラスに日本酒をつぐと
二人で小さく『乾杯』とグラスを突き合わせた。
一口日本酒を味わう。
「ん! これは美味いな…」
赤井は目を丸くした。
「ホント! すっきりしてて…でも繊細で…」
りおもあまりの美味しさにため息が出た。
次にりおは鍋からおでんを取り分けると
一口大根を食べた。
「美味しい…。秀一さんお店出せるわよ。」
「そうか? じゃあ、FBIをクビになったら
考えるとするか。」
りおに褒めてもらって嬉しそうに赤井は
答えた。
それからふたりはおでんをつつきながら
楽しくおしゃべりをする。
思いのほかお酒も進んだ。
特に赤井は日本酒が気に入ったらしく
結構なペースで飲んでいた。
「それで、元太君がね…」
少年探偵団の話をしている時だった。
ふと赤井の顔を見てりおは驚いた。
「?!」
「秀一さん…酔ってる?」
赤井の目がトロンとしていることに気付いた。
「ん〜。酔った…かな? でも日本酒って…
ウィスキーより…度数…低いんだろ?」
心なしか赤井のおしゃべりもゆっくりだ。
「確かにそうだけど…。口当たりが良いから
たくさん飲めちゃうのよ。量を飲めば
そりゃ酔っぱらうでしょう?」
赤井に声をかけながら一升瓶を手に取った。
「え? もうこんなに? 結構飲んでるよね?!」
「あれ…? そうだっけか? 美味いし
りおと話してると楽しいし…気付かなかったな…」
すでにベロベロのようだ。
「だ、大丈夫?」
りおは赤井の肩に手をかけ、顔を覗き込んだ。
「大丈夫じゃ…ない…。」
「ええ〜〜。」
「だって…りお不足だ。」
そういってりおの方へ体ごと向いた。
「私不足?」
「そ。りおが居ないのは…寂しい。
俺が毎日寂しい思いをしてるの…
お前知らないだろ。」
酔って自制が効かないらしく
いつもは決して口にしない赤井の本音が
飛び出した。
「秀一さん…私が居なくて寂しいの?」
りおは赤井の本音を聞ける
またとないチャンスだと思った。
「…寂しくない。」
「え? どっちなの…」
「うそ。寂しい。すごく。お前がここを出て
いって…一人ってこんなに寂しかったのかって
思い知ったんだ。」
視線を落とし、伏し目がちに赤井は話す。
長いまつげが酔った目元を隠した。
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月22日 13時