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雨のち笑顔2 ページ27

そんなりおの顔を見て、景光は微笑んだ。
「で、ホントにどうしちゃったんだ?
こんな所に一人でいるし。何かあったのか?」
口には出さなかったが、実はりおが先日
3日間ほど警察学校を離れていたことを
知っていた。

 ココに入れば、休日を除いて外泊をする
ことはほとんどない。せいぜい身内に良からぬことが起きた時くらいだ。
『おそらく…身内に何かあって、ふさぎ込んで
いるのでは?』
景光はそう思っていた。

 「なんでもないですよ。」
景光の問いにりおは笑顔で答えた。
「そう…か。ならいいんだ。」
自分の前では強がらないで欲しい…。
そう思っても、それを伝えることは
出来ずにいた。


 次の日もりおは元気が無かった。
職質の訓練中、犯人役をやっていたりおは
警官役を振り切って逃走を図る場面で、
うまく立ち回れずに誤って転倒してしまう。

ガターンッ!!

 派手な音がして、そこにいた全員が
息を飲んだ。

 「おい! 広瀬大丈夫か?!」
教官が慌てて駆け寄った。
「は、はい。大丈夫です。申し訳ありません。
私のミスです。」
すぐに立ち上がり自分の位置に戻ろうとした。
「ちょっと待て。」
教官がりおの肘を掴む。
「い、痛ッ!」
思わず声が出て表情が歪む。
「医務室行ってこい。そのあと俺のところに
来るんだ。いいな。」
「…はい。」
りおは痛む腕を押さえ、唇を噛んだ。


 「で。ケガの方は?」
教官の元へ駆けつけると開口一番尋ねられた。
「軽い捻挫と打撲でした。」
りおの左腕には白い包帯が巻かれている。
右手でそっと腕をさすった。
「そうか。大したことが無くて良かったな。」
「はい。本当に申し訳ありませんでした。」
深々と頭を下げるりおの姿を、
教官はジッと見つめた。

 そんなやり取りをしている時に、景光は
次の授業の準備のため、パーテーションで
仕切られた別の教官のデスクに来ていた。

 「ところで…。家の方は落ち着いたのか?」
隣で教官の声が聞こえた。
「あ、はい。家の片付けもほぼ済みました。
春になったら納骨する予定です。」
りおの声が聞こえてドキッとする。
『納骨? やはり身内に不幸が…』
そう思った時だった。
「広瀬…。唯一の肉親だったおばあさんを
亡くし、悲しいのは分かるが…。今のままでは
いかんぞ。」
「はい。」
教官の厳しい指摘にりおが返事をしていた。

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設定タグ:迷探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月22日 13時

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