思い出の…4 ページ24
「実はこれなんだけど…」
そういってりおは胸元からチャリ…と
何かを取り出した。
「?」
「これを手作りしたの。」
握り閉めたりおの手がそっと開く。
「これ…」
思わず目を見開いてしまった。
「あ、覚えてた? 藤枝に言われて二人で
海に行った時に、昴さんが拾ってくれた
シーグラス。」
「まだ持っていたのか。」
「もちろん。私の宝物だよ。」
りおは微笑んだ。
「ずっと大事にしまっていたんだけど、
出来ればお守りみたいに持ち歩きたいなっ
て思ってて。
先日蘭ちゃんたちの通学バッグに、
天然石を《ワイヤーラッピング》って
いう手法でチャームにしたものを見つけたの。
作った方が教室開いているって聞いて
紹介して貰ったのよ。」
『なるほど。先日ボウヤが言っていたのは
この事か。』
「結局シーグラスが小さめだったから
素人の私がワイヤーラッピングしようと
思っても上手く行かなくて…。
先生にアドバイス貰って、このシーグラスに
ピッタリな大きさの台座があったから、
そこにはめ込んだの。」
確かにワイヤーではなく銀色の台座に
まるであつらえたかのようにピッタリ
はまっていた。
「初めはチャームにしようと思っていたん
だけど、天然石と違ってシーグラスは
当然ガラスだから、バッグとかに当たると
割れちゃうかもって言われてね。
それでペンダントにしたの。
昴さんから…ううん。秀一さんから
初めてもらったものだから…大切にしたくて…。」
「ッ!」
最後のセリフは昴を煽るのには十分だった。
「りお! そんな可愛いこと言って…。
今すぐあなたを抱きたくなりました…。」
昴はりおを胸元に引き寄せると、その腕の
中に閉じ込めるように抱きしめた。
「わぁぁッ! だ、だから盛り上がら
ないでって言ったでしょッ!」
「ぐッ…。」
そういう事か…と今更ながら思う。
最近りおは俺の事が分かって来たな…
嬉しいけれど…今は…ちょっとツライ。
昴は心の中でつぶやいた。
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月22日 13時