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疑惑4 ページ19

「大丈夫ですか?」
昴はさくらに近づいた。
「ええ…。」
さくらはそれ以上何も言えず押し黙る。
「家に入って見せてください。ケガをして
いるかもしれませんから。」
昴はさくらの背中に触れると、世良が落として
いったさくらの荷物を持ち、そっと家へ
入るよう促した。

 「アザになっていますね…」
世良に掴まれた肩と、外壁に押し付けられた
背中は薄っすらと青くアザになっていた。
「私、すぐ内出血しちゃうからね…
大したことないのに。」
「真澄の握力をなめない方が良い。
アイツ格闘技バカだから、かなり鍛えている。」
湿布を貼りながら、昴はため息交じりに話す。
「まあ…確かに。『これは振りほどけないな』
とは思ったわ。」
真剣な目をした世良を思い出し、りおもまた
ため息をついた。

 「すまなかったな。真澄が暴走するなんて
思ってもみなかった。」
救急箱を片付けながら、昴は赤井の口調で謝罪した。
「私は…彼女の気持ちがすごく分かるわ。
信じたくないもの…。それは私も同じだった。」
ジンに渡された動画を見た時の
激しい動悸を思い出す。
思わず胸元に手が行った。
彼女自身の『自分だけが秀兄の事を良く知らない』
という、家族に対して抱えている思いも
りおの心に重くのしかかった。

 「真澄…お前に何か言ったのか?」
りおの暗い表情を見て、昴は心配になる。
「ううん。何も。」
世良の気持ちを知れば、赤井は辛くなるだろう。
伝える必要も無いと思った。
「そうか…」
納得しているようではなかったが、
昴はそれ以上聞いては来なかった。

***

 工藤邸から逃げるように走り去り
世良は河川敷に居た。
頭を冷やそうと、土手に腰を下ろし、川を眺める。
「あ〜あ…失敗したな〜。
あんなつもり無かったのに…。」
力に物を言わせ、事実を聞き出そうとする
など探偵失格だ。
「さくらさん大丈夫かな…。
悪い事しちゃったな。」
そうつぶやきながら、自分の右手首を見つめる。
昴に掴まれた時、その力の強さに驚いた。
若い男性の手だ。そこそこ力はあるだろう。
だがそれにしたってあの握力。
鍛えているとしか考えられない。
「しかもあの時『あなたも格闘術を習得している』
と言っていた。あなた《も》って…蘭ちゃんの事を
差しているのか?それとも自分の事か?」
昴の発言に疑問を抱く。
論文執筆に追われる大学院生が
そこまで鍛えるだろうか?

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設定タグ:迷探偵コナン , 赤井秀一 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:aki | 作成日時:2020年1月22日 13時

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